公開日:2023-04-15
kintoneの基本機能をひととおり理解して業務改善が進んでくると「JavaScript勉強してカスタマイズしよう」と考えられる方がたくさんおられます。
もちろん勉強することはすばらしいですし、どんどんやっていただくことを推奨したいのですが、自社の業務に使うkintoneアプリに対して自分で勉強して作成したJavaScriptカスタマイズを入れる場合には少し立ち止まって考えていただきたいことがあります。
このコラムでは、この点について解説します。
JavaScriptの学習コスト
プログラミング言語の学習にはそれなりの時間が必要です。kintoneの簡単なカスタマイズであればCybozu Developer Networkのサンプルコードをコピーして入れれば動くものが多いですが、コピペプログラミングではそのプログラムの意味を理解できていないことが多く、機能を変更しようとしたときに困ってしまうことがあります。
また、プログラムには常にセキュリティの問題がつきまといます。セキュリティに配慮していないプログラムは深刻な情報漏洩を起こすこともあり注意が必要です。
これらの問題をクリアするレベルでJavaScriptを学習しようとすると、単純なkintoneのカスタマイズについてだけでなく、IT全般の深い知識が必要となり相当な時間がかかります。
学習に時間を使うということは、それだけのコストをかけるということになります。
興味があるので自分の学習のために勉強するということはすばらしいですし、それはどんどんやっていただきたいです。
自分の時間もコスト
ある程度学習できたとして、自社の業務に使うkintoneアプリへカスタマイズを入れるとします。プログラムの開発には時間がかかります。これもコストとして考える必要があります。
また、プログラムは1回開発して終わりということはなく、継続的にメンテナンスが必要になることが多くあります。
kintoneアプリを変更したらJavaScriptも変更しないといけなくなることはよくあります。また、kintoneのアップデートによって動かなくなることあり、そういう時もプログラムの修正が必要となります。
引き継ぎ問題
kintoneを導入するとき、多くの会社ではまずお1人で導入を担当されるケースが多くみられます。熱烈にkintoneを愛する方がkintoneアプリをどんどん作られて業務改善効果を得る。これはすばらしいことなのですが、そのすばらしい業務改善を継続するには、担当が1人ではまずいことが多いです。
病気、ライフイベント、異動、転職等で最初にkintoneを導入した人が永遠にいる保証はありません。
企業は常に人が変わる可能性を考慮して進んでいく必要があります。
社内で1人しかkintoneがわからない、そしてその1人がJavaScriptを書いてkintoneをカスタマイズしていたとなると、その人がいなくなるとその後が大変です。
「kintoneのことをよく知っていて、JavaScriptカスタマイズまでできる」ような人は実際それほど世の中にはいません。代わりの人を探そうとしてもすぐには見つからないと思います。
kintone SIGNPOSTにも「担い手を増やす」という項目があります。
kintoneの活用を安定的に行うには担い手を増やすことが大切なのですが、JavaScriptカスタマイズを入れているとここで学習コストが問題になり得ます。
JavaScriptは書いちゃダメなのか?
このコラムではJavaScriptを書くなというつもりはありません。上でご紹介したような要素を考慮した上で書かれるのであれば自由にカスタマイズできますのでやっていただくことに問題はないと考えています。
上の問題がクリアできないと感じられる方は、たくさん出ているプラグインや弊社のgusuku Customineをご利用いただくことをオススメします。
「そういうの入れたらお金かかるから上司の許可がでない」というのもよく聞くのですが、ご紹介した学習コストも引き継ぎ問題も、そしてセキュリティ上の懸念もすべてコストです。このあたりを丁寧に説明していただくのがよいと思うのですが、簡単ではなく・・・。
目に見えて出て行くお金と社内の人の稼働によって生まれているコスト(失われた時間とも言えます)はなかなか比較しづらいのですが、おそらくみなさんの会社でもある程度は可視化することはできると思いますので、チャレンジしてみてください。