公開日:2022-05-13
アールスリーは「自社のkintone担当者」を育てるのにぴったりの開発パートナーです
株式会社特殊高所技術
京都営業所所長 川村 裕也 様
総務部 荒木 加代子 様
総務部 新野 系太 様
株式会社特殊高所技術様は、橋梁・ダム・発電所などのインフラを、ロープ1本を使用して調査・点検・補修する事業を行う会社です。その技術は2022年2月にNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介されました。そんな同社が「業務の案件管理」を行なうためのシステムを、kintoneを使い、アールスリーと協力して構築されましたので、その様子や導入効果についてうかがいました。
Excelによる案件管理をkintoneでシステム化したい
Q:kintone導入の経緯を教えてください
荒木様
以前は、お問い合わせから入金までの案件管理を複数のExcelやメッセージ(LINEや社内チャット)で行っていました。Excelでは複雑な計算をいくつも行なっており、同じ情報を複数箇所に転記していく作業がとても大変でした。個々の案件の進捗状況や、会社全体の数字も見にくい状況でした。技術者は出張先にいることが多いので、請求書の印刷や捺印などの依頼が本社に寄せられることも悩みの一つでした。そこで、お問い合わせから入金までをシステム化する事で会社の数字を見える化し、またペーパーレス化する事で現場の技術者が出張先から案件管理を完了できるようにしたいと思い2019年にkintoneを導入しました。
従来利用していたExcel
ノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineが決め手
Q:kintoneを導入した2019年から、案件管理アプリの開発に取り組みはじめた2021年までの出来事、案件管理アプリの開発をアールスリーに依頼した経緯を教えてください
荒木様
案件管理は大きな開発になることが予想されました。私たち2人でできるか不安だったので「初期開発を開発会社にしていただいてから、運用を自分たちで行なう」ことにしました。最初はあるkintoneのパートナー企業さんと一緒に進めていたのですが、私たちが思うようなアプリができなかったので同社とは仕組みがシンプルな出勤管理アプリを開発する方向に切り替えました。この過程で私と新野の中にkintoneのノウハウが蓄積されていきました。2021年になると補助金を利用できることになったので、開発パートナーを選定し、念願だった案件管理アプリの開発に乗り出しました。
色々なアプリを作る中でプラグインだけでは実現できない事が出始めており、JavaScriptによるカスタマイズが必要でした。しかしそれができるのは社内で新野だけでしたので、属人化してしまい都合がよくありません。そこでノーコードでkintoneをカスタマイズできる「gusuku Customine」のことを思い出しました。gusuku Customineは以前から知っており、これがあれば私もカスタマイズができるようになるから良いなと思ったことと、gusuku Customineを提供しているアールスリーの開発者である浅賀さんとkintone Café(kintoneについて勉強したい人が集まる有志の勉強会)で知り合い、その後も相談にのっていただいたことがあり安心感があったので依頼を決めました。
問合せから入金まで「案件管理の全工程」を実行できる9つのアプリが完成
Q:今回開発したkintoneアプリについて教えてください
荒木様
「案件管理」は、お問い合わせをいただいてから入金までの工程を管理するアプリです。9つのアプリが連動して機能します。1番目の「案件管理アプリ」は見込案件ができた時に案件登録を行なうアプリです。2〜8番のアプリは連動しており、案件成立・見積書作成・日報などを担当者が入力すると必要なアプリに自動で反映されます。案件が完了すると、1〜8番の全アプリのデータを使って案件の総費用である「実行費用」を計算し、9番目のアプリに保存します。実行費用の計算が終わると1つの案件が終了します。
案件管理アプリの概要
案件管理アプリ
アールスリー浅賀より
主軸となる案件管理アプリと「複数の担当者さまが利用する色々なアプリ」を連携させる開発では、各利用者さまの使い勝手を考慮しながら、色々な業務パターンにも対応でき、案件管理アプリに必要なデータがきっちり集まっていくような構造設計が必要でした。もし最初の設計でデータ構造を間違えてしまうと アプリの運用が始まってから使えないケースが発生してしまいます。これが起こらないように、業務内容や独自の橋梁データベースのことを深く理解し、各アプリへのデータの持たせ方をよく考えることが今回の開発のハイライトでした。
アールスリーは意図を理解して「できる方法」を考えてくれた
Q:アプリ開発の様子と感想を教えてください
荒木様
私が「こんな感じにしたい…」と意図を簡潔に言葉にできない時には「こういうことですね」と意図をくんでくれましたし、「これはできるだろう」と思っていたことが実はkintoneには苦手だった場合でも代替案を提案してくれたので、安心してお任せできました。例えば「1つの案件に複数の橋梁を紐付けること」は、私は簡単にできると考えていましたが、実際には他アプリでの利用まで想定してデータ構造を考える必要がありました。これを解決できるアプリの構成をアールスリーの浅賀さんは考えてくださいました。
また、当社では実行費用(各案件の人件費・交通費・宿泊費・外注費の合計)をExcelで集計しています。これは大変複雑な計算で、同計算式のことは福岡の所長だけが把握していました。そこで実行費用を計算しているExcelファイルをアールスリーにお渡しして解析してもらい、これをアプリで表現する方法を考えていただきました。実際の開発ではkintoneアプリ内の色々な数字を集計できるプラグインkrewDataが必要だったので、その設定もおまかせしました。
アールスリー浅賀より
実行費用を計算しているExcelファイルにはシートが大量にあり、複数のシートが連携して複雑な計算式が含まれていました。これをkintone化するために、実行費用の計算に必要なデータが含まれる色々なアプリから、どのようにデータを取ってくればやりたいことを実現できるかを練りました。
「自分たちで開発をしていく体制」を実現できる関わり方をしてくれる
Q:アールスリーに依頼する価値とは何でしょうか?
荒木様
私たちは自分たちで開発をしていこうと思っていたので、それを実現できるような関わり方をしてくれました。私が何か質問をした時に「やっておきます」ではなく方法論を教えていただけるので、それが別のことをやろうとした時のヒントになることが凄く良く、どんどんレベルアップできている感じがします。
またkintoneを業務で使用する上で、JavaScriptを使用したカスタマイズやプラグインは無くてはならないものですが、JavaScriptでの開発や業務にマッチしたプラグインの選定・導入は誰もができることではありません。その時に、誰でも開発が可能になるkintoneとgusuku Customineの組み合わせに価値があると思います。
新野様
gusuku Customineは「簡単にやりたいことが実現できる」と感じています。今は自分でJavaScriptを書いておらず、アールスリーがgusuku Customineで開発したカスタマイズを参考にしながらアプリをカスタマイズしています。やりたいことを実現するまでの負荷は大幅に減りましたし、自分の思っていたことが表現できた時は楽しいです。
アールスリー開発者 與那城より
gusuku Customineは盛り込みたい機能を全て1ページに登録することもできますが、今回は「機能ごとにベージを分けて設定」しました。こうしておけば特殊高所技術様がgusuku Customineの設定を参照した時に「一つ一つに機能名がついている」ので分かりやすいと考えたからです。新野様が実際にgusuku Customineの設定を参考にしてくださっていて嬉しいです!
経営数字の集計作業が年間20日以上から2日以下に
Q:kintoneアプリの利用効果を教えてください
集計作業が1回あたり1〜2日から10〜20分に
人工数・現場数・有給数・平均年齢・労務人事系の集計など、色々な集計作業が激減しました。Excelでは、セルを一つ一つ数えるような集計作業もしていたので1回の集計に1〜2日もかかり、毎年10〜20件ほど処理していました。今はよく求められる数字をアプリに登録したので、必要な期間を指定して出力するだけで良くなりそれぞれの集計が10〜20分で終わります。最近は「もしかしてこれはkintoneで分かりますか?」と質問が来るようになって、凄く嬉しいです。
技術者が出張中に事務作業が可能に
kintoneでは技術者が現場に出ていてもパソコンがあれば請求業務などができるようになりました。これに伴い現場から総務に対する請求書や捺印業務の依頼数が、月15〜20件から半分以下になりました。
実行費用を計算する手間が激減
これまでは案件が完了してからExcelで実行費用の集計をしており、ここがとても大変でした。kintoneでは実行費用アプリでボタンを押すと集計が完了するようになりました。
仕事が後回しにならない
Excelでは誰かがファイルを開いていたら作業ができないので仕事を後回しにしてしまい、その作業をするのを忘れることがありました。また転記し忘れ、ゼロの多い数字の記入ミスもありました。kintoneではアプリの流れに沿って進めれば、ミス無く、後回しになることなく案件管理が終了します。
「自社のkintone担当者」を育てるのにぴったりの開発パートナー
Q:最後に、アールスリーの開発を検討されている方にメッセージをお願いします
川村様
自分たちでkintoneアプリを作り、継続的に業務改善を行っていきたい会社は、開発パートナーにアールスリーを選ぶと良いと思います。荒木はもともとkintoneを全く知らない状態でしたが、今は社内で「アラキントン」と呼ばれています。何かのプロフェッショナルと呼ばれることは難しいものですが、彼女は今、間違いなくkintoneのプロフェッショナルです。
しかし独学ではここまではいかないと思います。アールスリーと仕事をする中で、教えてもらうこともあれば、自分で調べたこともある中でここまでのスキルを身につけました。荒木が、アールスリーは「担当者を育てるのにぴったりの会社」であることを証明しています。
荒木様
アールスリーは、kintoneでやりたいことがあるけれど、道筋が明確でない時に、実現に向けて後押ししてくれる開発パートナーです。自分たちのやりたいことを実現できるアプリの形が見えていない段階でも、アールスリーに相談すれば、どんなアプリ構成にすれば良いかを、押しつけではなく、より良い方向に後押ししてくれる雰囲気がありました。自社で開発をしていきたいという会社さんには頼れるパートナーです。
貴重なお話をありがとうございました。
取材2022年3月