公開日:2024-12-24
4万点の雑貨を扱う輸入卸がカスタマイン×コラボフローで独自承認フロー対応の業務システムに刷新
株式会社武田コーポレーション
経営企画部 システム課長
尾田 弘樹 様
株式会社武田コーポレーションは明治40年に武田すだれ本店として創業し、昭和54年にタケダ産業株式会社として設立された老舗の輸入総合卸会社です。海外から日用品やアウトドア用品、インテリア用品、キッチン用品などの商品を輸入し、全国のホームセンターや100円ショップ、ドラッグストア、ディスカウントショップなどに販売しています。
武田コーポレーションはkintoneを導入する前まで、オンプレミスのグループウェアを利用していました。なんと、2009年頃にエンジニア経験のない人が社内にサーバーを置き、自前でプログラミングして作り上げたものです。社内からの要望をかなえて繰り返し改修を続けた結果、使いやすいシステムになっていました。
しかし、15年も経てば、IT技術は大きく変化しており、セキュリティ面でリスクが大きくなってきます。外部公開しているホームページと同じサーバーを使っている、というのも問題です。そこで、武田コーポレーションではkintoneと「gusuku Customine」(以下、カスタマイン)を用いて旧システムからのリプレースを行うとともに、ワークフローシステム「コラボフロー」と連携させて稟議の仕組みを刷新しました。システム刷新・導入の経緯について、経営企画部 システム課長 尾田弘樹氏に伺いました。
■10年以上使っていた自前のグループウェアをクラウドに移行
尾田氏は5年前に入社し、経営企画部システム課で主に社内のシステムやインフラなどを担当をしています。入社した時点で10年以上使っていたグループウェアがあったのですが、なんと前任者が自分でプログラムを作り、オンプレサーバーで動作させていました。当然、システム担当の視点からはセキュリティリスクが懸念されました。
「特に問題はなく利用できていたのですが、弊社の公開ホームページと同じサーバーに社内のグループウェアが共存する形で置いてあったのです。これは、まずいと上司に相談しました」(尾田氏)
前任者は元々システム開発経験がある人ではありませんが、しっかりと動作するグループウェアを作り上げられていたそうです。社内のユーザーから寄せられた要望に対応し、掲示板やスケジュール、Webメール機能などを搭載していました。また、グループウェア上で基幹システムから抜き出した一部のデータを確認できるようにもなっていました。社内ユーザーにとって使いやすいグループウェアになっていたため、10年以上に渡り使い続けられてきたのです。
しかし、継ぎ足しで開発し続けたため、システムに統一感がありませんでした。また、グループウェアは社内の情報が入っているにも関わらず、外部からアクセスされる公開ホームページと同じサーバーにも置いてあることも大きな課題でした。このままでは、何かトラブルが起きたときに業務が停止してしまったり、情報が漏洩してしまう可能性があります。セキュリティホールがあっても対応できないので、いつか大きな事故が起きる可能性が高いと考え、システムのリプレースを進めることになりました。
色々なサービスを検討した結果、セキュリティがしっかりしていることに加え、各業務・部署単位で掲示板でチャットやメールのような形式で共有されていた情報を定型の業務アプリとして管理することができることから、Garoonとkintoneを導入しました。
そこから半年間、様々なアプリを作り、社内の業務をkintoneに移行していきました。例えば、食品検査管理アプリです。コップなどの口に触れる輸入商品は外部検査に出す必要があります。その依頼業務をアプリで行うことにしたのです。掲示板だと大量の情報が埋もれてしまい、通知で管理しきれないので、アプリ化してプロセス管理で運用することにしました。
馴染んでいたグループウェアから、いきなりkintoneに移行したので、社内からは「使いにくい」といった声が上がっていました。そこで、できるかぎり使いやすくするために、いろいろなプラグインや連携サービスを導入して対応したそうです。しかし、そうするとプラグイン同士が競合し、不具合が起きてしまいました。
「2022年頭からkintoneを触り始めたのですが、片っ端からプラグインを探して、使えそうなら導入していきました。テーブルの表示を見やすくしたり、入力の際に気を付けることをメッセージで表示したりしました。その他、自動採番や入力制御、検索機能など、やみくもに入れていました。ただ、それぞれのプラグイン単独であれば動くのに、複数動作させようとすると競合してしまうので色々と調査していました。そんな時に、カスタマインを見つけました」(尾田氏)
カスタマインさえ契約すればいろいろなことができる、競合もなくなる。また、定期実行処理タスクを作成できるといった点にも魅力を感じ、使い始められたそうです。
■カスタマインをハブにしてコラボフローとkintoneで申請フローを構築
武田コーポレーションでは膨大な数の商品を扱っています。在庫管理しているものだけで約3万7000アイテム、在庫管理していないものまで含めると約4万2000アイテムにも及びます。これらのアイテムを管理するのは簡単ではありません。
あるアイテムを商品化するかどうかの稟議だけでも複雑な業務フローが発生します。元々は紙で行っていたのですが、尾田氏はこの業務をkintoneとカスタマインとコラボフローで構築することにしました。
簡単な稟議申請であればkintoneのプロセス管理で行うこともできます。しかし、プロセスの引き戻しをしたい、一括承認したい、エビデンスを修正できない形で残したい、といった理由でワークフローシステム「コラボフロー」を導入したのです。
「もともとコラボフローとは別のサービスを利用していたのですが、商品の情報などはkintoneに入っているため、業務の途中で転記作業が発生し、手間がかかる上にミスも発生しました。そこで、kintoneと連携できるコラボフローに切り替えたのです」(尾田氏)
申請業務のうち、担当者レベルで確認が必要なタスクはkintoneのプロセス管理で進めます。その後、経営層などの決裁が必要な部分はコラボフローで決裁できるようにしました。そのためにカスタマインの機能である、コラボフロー文書を扱うさまざまな「やること」を活用しました。コラボフローで文書を作成し、そこで承認を行い、その結果をkintoneに戻し、情報を格納したり処理を進められるようにしたのです。
もちろん、カスタマインで連携するのでコラボフローの文書にはkintoneの情報がそのまま入り、情報の二重入力は不要になりました。決裁が下りたことをトリガーとして業務が進んでいくので、スムーズに仕事を進められるようになるというメリットもありました。
コラボフローでの申請を起点とする手続きもあります。例えば、社員がシステム課に対してパソコンのセットアップを依頼する場合、コラボフローから申請を出し、尾田氏が誰に対応させるのかを判断してタスクを振り分けています。
kintoneからすべての承認フローを始めることにこだわらず、ユーザーが使いやすいように構築しています。kintoneに固執せず、ユーザー目線で開発しているところが社内浸透のポイントです。
とは言え、情報が分散すると見逃しが発生します。そこで、自分の申請や承認しなければならない申請がある場合は、kintoneのポータル画面にコラボフローの申請一覧が表示されるようにしています。すぐに確認できるので見逃すことがありません。
クリックすれば内容を確認できますし、コラボフローに遷移して詳細を見ることもできます。そして、コラボフロー側にもkintoneのリンクを貼っているので、1クリックでそのレコードに戻ってくることもできます。手間も時間もかかっていた社内の申請フローがkintone上でスムーズに進められるようになりました。
■ユーザーが安全に使いこなせるシステムをカスタマインで構築する
Job Runnerの定期実行タスクも活用しています。その1つが、商品JANコードの発番状況の確認とステータスの更新です。
商品の検査依頼をする際に、kintoneのテーブルで複数商品をまとめて依頼しています。そして、基幹システム側でJANコードを発番し、RPAを利用しCSVでテーブルの該当する商品にJANコードを反映しています。Job Runnerを利用しない場合、担当者は毎日テーブル全行にJANコードが入っているかを確認し、入っている場合はステータスを次に進めるといった作業を行わないといけません。この確認作業を、Job Runnerで自動化したのです。
他にも業務で活用している約60のアプリでカスタマインを活用し、業務を効率化しています。
「カスタマインのいいところはノーコードなので、技術者でなくても使えるところです。kintoneもそうですが、もうプログラムをがっつり書くという時代は終わったと思っています。カスタマインはその点、わかりやすく、保守、運用しやすいのですごくいいなと思ってますね。マニュアルも充実していますし、わからないところはチャットサポートに聞けば解決できます。サポートの返事が早いな、といつも感心しています」(尾田氏)
kintoneの社内活用が進んでいくと、想像しなかった嬉しい変化もありました。当初、グループウェアの移行に反対していた経営層の人がkintoneを使っていて、最近は他の人に「kintone便利だぞ、みんなもっと活用しよう!」と社内で広めてくれるようになったそうです。
最後に、今後の展望を伺いました。
「やっぱりシステムを使う社員が、なるべく楽できるように作っていきたいと思います。ただ、色々な法律を守る必要があり、使いやすさとバーターになってしまう部分があるので、そこをカスタマインで支援していきたいですね。ユーザーから見て、こういう情報が欲しい、これがあると便利だよね、というものがたくさんあります。基幹システムで取り扱うのが難しいものはkintoneで実装し、連携できればいいなと思っています。今は、できることに『適格請求書発行事業者情報を取得する』が追加されたので、それも活用していきたいですね」と尾田氏は語ってくれました。
取材2024年7月