公開日:2019-03-26
一般的なシステム開発では不可能なスピード感で現場を支えるkintoneと「gusuku Customine」
株式会社ライドオンエクスプレス
【課題】新規事業の現場を支えるため求められたスピード開発
株式会社ライドオンエクスプレスは、宅配寿司「銀のさら」などで知られるライドオングループの一社で、フランチャイズ先の店舗に人材教育プログラムを提供するなど、加盟店に向けたサービスを担う重要な役割を担っています。同社のファインダイン事業部は、提携レストランの宅配代行サービス「ファインダイン」という新規事業を担当しています。新しい事業形態のため、業務内容も日々アップデートを続けており、変化が早いため業務のシステム化が難しいという課題に直面しました。
そうした課題を解決すべく導入されたのが、サイボウズ株式会社が提供する業務アプリ作成プラットフォームkintoneでした。「最初は営業履歴をスプレッドシートで管理していました。しかし履歴として残したい情報と、戦略を考えるために見たい統計情報とが違うため、集計が必要でした」と、マーケティング本部 ファインダイン事業部 市場開発グループの室田茉衣氏は当時を語ります。
スプレッドシートからkintoneへの移行により、営業履歴から知りたい情報を簡単にまとめられるようになり、日報メールをマネージャーがスプレッドシートに転記するなどの無駄な手間もなくなりました。kintoneの使いやすさとその効果を知った室田氏は、業務の更なる効率化を目指してkintoneアプリのカスタマイズも学びました。関連各社がプラグインを提供するなど、エンジニアでなくてもカスタマイズできる環境が整っているのは、kintoneの魅力のひとつであり、室田氏もそれらのプラグインを最大限に活用しました。
しかし室田氏の努力だけでは乗り越えられない課題もありました。「有償で高額なプラグインには手を出しにくかったり、プラグインの数が増えることによる弊害が出たりと、新しい課題が生まれました」と、室田氏は語ります。基本的にプラグインは単機能のものが多く、組み合わせることでカスタマイズを実現しますが、プラグインごとに設定画面が異なり設定が煩雑になりました。またプラグイン同士の競合の問題もあったといいます。
【選定のポイント】かゆいところに手が届く機能がひとつにまとまったgusuku Customine
室田氏がkintoneアプリのカスタマイズに煩雑さを感じ始めた頃に出会ったのが、アールスリーインスティテュート(以下、アールスリー)のgusuku Customineでした。かつてはJavaScriptによるプログラミングが必要だったカスタマイズを、「やること」と「条件」を指定するだけで実現します。プレビュー版を試用した室田氏はgusuku Customineに一目惚れ。
機能面で特に気に入ったのは、ルックアップ先のデータ変更をルックアップ元アプリに自動反映できることと、細かい入力制御が可能なことだと言います。入力必須項目を指定したり、入力欄に「半角英数」などと入力すべきデータ形式を指定する表示を添えたりすることで、データの入力精度を向上できます。
それまでできなかったカスタマイズが可能になっただけではなく、使いやすさも大きな魅力でした。エンジニア目線の専門用語ではなく、「やること」や「条件」に並んでいたのは「必須チェックを行う」などの平易な言葉ばかりでした。「やること」の一覧を見るだけで、gusuku Customineでどのようなことができるかわかるので、プログラミングの経験がなくても詳細なカスタマイズが可能でした。室田氏は正式サービス開始前から既存アプリに積極的に取り入れ、それまで解決できていなかった課題を解決できることを確認しました。
正式サービス開始と同時に本格利用を開始。カスタマイズにかかる手間を省いて効率化するこのようなサービスは、担当者が楽をしようとしていると見られがちで、稟議が通りにくいという話も聞きます。そこを乗り越えたのは、室田氏のある工夫でした。gusuku Customine導入のインパクトが大きいアプリを選び、プレビュー版当時から機能を適用。正式サービス開始時に、「有償プランを契約しないと、これらの便利な機能は使えなくなって以前の状態に戻ります」と上長に説明。すでに効果を体感している上長も導入に反対はしなかったといいます。また、月額プランがあったことも導入のハードルを下げました。「新規事業でありまだ変化が続いているので、導入拡大だけではなく縮退もできる柔軟性が必要」という、同事業部の要件を満たしていたのでした。
【運用と効果】人手でチェックしていた入力漏れを解消、新規アプリでも大きな効果
これまで個別のプラグインで実現していたカスタマイズはもちろん、プラグインだけでは難しくて諦めていたカスタマイズも、gusuku Customineなら数ステップの操作だけで解決しました。複数のプラグインを組み合わせて実現していたカスタマイズも、gusuku Customineに巻き取ることで一本化できました。これにより、プラグインごとに異なる設定画面の操作を覚えて使いこなすことも、複数のプラグインをインストールすることによる競合の心配もなくなりました。
それまでは営業担当者が自分たちで、入力必須項目の抜け漏れをチェックしていました。評価指標となる営業プロセスなど特に重要なアプリは、室田氏が定期的にチェックして、個別にお願いして入力してもらっていたそうです。かつては営業を担当していたという、マーケティング本部 ファインダイン事業部 市場開発グループの佐竹志津佳氏は、「データ入力は本業ではないのでどうしても後回しにしがちでしたが、kintoneアプリ化で楽になりました」と自身の経験を語りました。
既存のkintoneアプリに活用するだけではなく、その後に新しく作られた「初期教育チェックシート」アプリはgusuku Customineを使う前提で設計されました。新人は業務に就くにあたり、社内で規定されている研修を受けなければなりません。各研修は配属された店舗で行われるのですが、店舗の繁忙具合によって頻繁に配属先が変わるため、どの従業員がどこまで研修を済ませたか把握するために手間がかかっていました。「店舗を移動するたびに紙のチェックシートをFAXで送信するなどということはしたくありませんでした。オンラインで、新人にもトレーナーにも気軽に入力してもらえると期待して、kintoneアプリ化しました」と、室田氏は経緯を説明してくれました。
宅配サービスの現場では、ゆっくり座ってPCに向かってデータ入力をする時間はほとんど取れません。そこでスマートフォンからの入力を前提に、必要最低限の項目でシンプルなアプリに仕上げました。室田氏は現場からの要望に応えて、2日程度でアプリを作成したそうです。「kintoneとgusuku Customineの組みあわせだからできたこと。一般的なシステム構築を依頼していたら、現場のスピードに追いつくことはできなかったでしょう」と、効果について語りました。
【今後の展望】カスタマイズ内容が一目でわかるgusuku Customineなら横展開や引き継ぎも不安なし
すっかりgusuku Customineを使いこなし、「Customineファン」だと公言してくださっている室田氏ですが、いつまでもアプリを自分だけで管理する訳にはいきません。人事異動などによる引き継ぎも考慮しながら、kintoneとgusuku Customineを使っていくつもりとのこと。ただ、室田氏に不安はない様子でした。「gusuku Customineのいいところは、設定画面を見ればどのような処理をしているか一目瞭然です」と、その理由を語ります。いわばgusuku Customineの設定画面がkintoneアプリカスタマイズの仕様書になっており、担当者が変わったとしても処理の内容を把握しやすくなっているのです。
今後の展望については、自身が担当する事業以外にも、kintoneとgusuku Customineを社内に展開していきたいと、意向を述べました。マーケティング本部 ファインダイン事業部 市場開発グループの中村陽子氏は「それぞれの事業部にひとりずつでもいいのでkintoneを扱える人がいれば、社内でkintoneアプリの作り方について学び合える環境を作ることもできるし、なにより業務現場のスピードをkintoneで支援できるようになる」と、社内展開への期待を語りました。現場担当者が本来時間を割くべきは、データの入力や管理ではありません。kintoneアプリ化してデータ入力を手軽にし、gusuku Customineでその入力精度を担保していく。それが結果的には現場担当者が本来業務により多くの時間を充て、サービスを向上させることにつながっていきます。
社内での横展開や、今後も使い続けていくことに関して、アールスリーからのサポートにも期待が寄せられています。「ITに詳しくないので、『こんなことをわざわざ聞いても怒られないかな』と思いながら質問したこともありましたが、アールスリーさんはいつでも親切に答えてくれました」と、室田氏はサポート体制への感想を語りました。最近gusuku Customineの画面に加わったチャットサポート機能についても好意的で、「より気軽に聞けるようになり、開発を支援してくれるパートナーとして信頼感と親近感が増した」と言います。
新しいアプリを作るときには、gusuku Customineの設定画面を眺めながら構想を練ることもあると言う室田氏。「gusuku Customineの『やること』一覧を見ているだけで、これができるならこんなアプリも作れるかもって、ヒントをもらえるんです」とのこと。これからもライドオンエクスプレスのビジネススピードを支えていくために、kintoneとgusuku Customineが活用されそうです。
貴重なお話しをありがとうございました。
取材2019年3月