株式会社クラボウインターナショナル様 導入事例

公開日:2017-05-30

バングラデシュでのアパレルの生産管理ツール“KIOMS”の効果で、開発費はあっという間に回収できました

株式会社クラボウインターナショナル
営業本部第1部 部長代行 兼 第1課長 坂野 尚志 様
営業本部 第1部 第1課 石井 雄介 様
企画業務部 システム管理課 主任 福嶋 徹夫 様

「アパレルの生産管理が極めて困難」なバングラデシュ。ここで70万枚もの生産管理をスムーズにし、各シーズンあたり、どうしても何回かは使わなければならなかった高額な費用がかかるエアー輸送の回数を劇的に削減した「kintoneベースの生産管理ツールKIOMS(キオモス)」。同ツールの着想・開発の様子・業務改善効果についてクラボウインターナショナル様にうかがいました。

クラボウインターナショナル様の課題

バングラデシュでTシャツを240万枚生産せよ!

バングラデシュでの衣類の生産はその困難さから繊維業界では「鬼門」と言われています。アパレル生産管理ツール「KIOMS」は、ここでの「240万枚のTシャツ生産」がきっかけで生まれました。同案件はTシャツの販売予定価格が低いため原価の抑制が極めて重要でした。これまで同社では生産管理を「Excel・メール・手書きの書類・出張」ベースで行っていました。しかし本件は、1のTシャツに対し「デザイン10種類 ✕ 配色4種類」といった塊が山ほどあり「常時200種類の生産管理」が必要だったため、これまでの方法では管理の限界を超えてしまいます。

日本側もバングラデシュ側も現状把握すらできない状況に追い込まれ「納期ギリギリのところで生産できていないケース」が続出。慌てて24時間かけてバングラデシュに飛び、何がどの工程にあるのかを確認していました。その出張の結末は輸送コストで利益が吹き飛ぶようなエアー便を飛ばすことでした。また、納期に追われ出来上がった商品を次々と出荷しなければならない状態になっていたため、船便の場合もコンテナ積載効率が悪い状態でした。日本側の貿易担当者も、仕様書やインボイスなどの輸入に必要な書類を膨大なメールの中から探し出すのに多くの時間を費やしていました。この状況を打開すべく、営業本部第1部第1課を率いる坂野さんと生産管理の最前線を守る石井さんはシステム管理課の福嶋さんに生産管理ツールの構想を相談。クラボウインターオーダーマネジメントシステム、通称「KIOMS」の開発が決まります。同ツールにkintoneが採用された理由は「1つの画面」を日本と海外で同時に閲覧できることと、同ツールのためにサーバーなど機材を買う必要がないことでした。開発パートナーの選定では、坂野さんはアールスリーの見積もりを確認すると「エアー便を減らすことができれば開発費はあっという間に回収できる」と即決だったと言います。

アールスリーとのシステム構築

kintoneを活用した国境をまたいだクラウド的な開発

「KIOMS」の完成には2回の開発が必要でした。第1回目の開発はある大口顧客専用ソフトとして「オーダーの入力から生産状況まで全てをバングラデシュ側が入力する仕様」で開発されました。使い方を簡単にしたいと1画面に「バングラデシュ側が求める多数の入力項目」を盛り込んだ結果、動作の遅いツールになってしまいます。ツールの改善が必要と考えていた矢先、追加で70万枚のオーダーが入ることになり、どうしてもきちんと使える「KIOMS」が必要になりました。生産開始まで1ヶ月を切る切迫した状況でした。第2回目の開発では、色々な顧客の生産に対応できる汎用的なツールを目指し、1回目の経験を活かして石井さんが「新KIOMS構想」を練り上げます。そのポイントは5つありました。

  1. 生産管理に必要な最低限の項目だけでツールを構成すること
  2. 入力を日本とバングラデシュで分担する仕組みにすること
  3. 入力が簡単なこと(日付や状況を選ぶだけ)
  4. 品番ごとに商品写真を添付できること
  5. 生産状況を視覚的に確認できる何らかの機能の設置

アールスリーは、2回目の開発MTGの前に「新KIOMS構想」を受け取っていたことから、初回の打合せにはプロトタイプ(試作品)を作って持参しました。そして「生産管理に必要最低限の項目」をそれぞれ別のアプリにすることで画面の動きを軽くすることや、全ての生産状況をExcelライクな1枚のスプレッドシート上で「色により可視化する方法」を提案しました。福嶋さんが「生産管理の入力を項目ごとにアプリ化することは良いが、どのアプリで入力したデータも他の全てのアプリと同期されるようにしたい」と技術的な要望を加えるなど、議論は白熱しました。

また、本開発はクラウド的でした。kintoneはクラウドツールなので「新KIOMS」のプロトタイプはバングラデシュでも実際に動かすことができます。クラボウインターナショナル様はバングラデシュの担当者とテレビ会議を行い、ツールの仕様について「現物を触りながら」打合せを行いました。アールスリーとの確認や連絡は「kintoneのコメント機能」を通じてチャット感覚で行いました。石井さんはバングラデシュ向けのコメントは英語で書き込みを行い、アールスリーも英語で応えたこともありました。これらのやり取りを経て「新KIOMS」は完成しました。開発期間はわずか2週間でした。

KIOMSのマネジメント専用アプリ

アパレル大量生産管理システム「KIOMS」のマネジメント専用アプリ。「色」で数百品番の進行状況を見分けられる。

ある商品に関する輸送データ

ある品番に関する数字や書類が1まとめに表示されるので、書類などを探す時間もゼロになった。

新KIOMSの仕組みと6つのアプリ

導入効果

「開発費をあっという間に回収」など、KIOMSの驚くべき導入効果を紹介します。

バングラデシュでの大量のアパレル生産管理に成功

「KIOMSのマネジメント専用アプリ」で生産状況を完璧に確認できるようになったので納期通りに生産できるようになりました。顧客から「バングラデシュでまともに商品があがってくるのはクラボウインターナショナルさんだけ」という嬉しい声をいただくこともあるそうです。

エアー輸送回数の削減

スケジュール通りに生産できるのでエアー便を使う必要がなくなりました。船便においても計画的にコンテナを満杯にできるため輸送コストは劇的に減りました。

時短に成功し、業務効率が大改善

営業本部においてはExcelによる進捗報告資料をメールから探したり紙の資料をコピーする手間が無くなりました。貿易担当者はオーダー明細・インボイスなどの通関で必要な書類を品番検索で取り出せるようになりました。

悲惨な出張から解放

「危なそうなオーダー」を前々から把握できるので、お客様に事前に相談をするなど手を打てます。結果、突発的で「現状を把握するためだけ」の悲惨な出張が全く無くなりました。

ポジティブ・マネジメントへシフト

衣料品の市場価格が下がったため多くの商社が危険で遠いバングラデシュに進出しましたが、マネジメントの難しさのために撤退しています。坂野さんは「これまでに痛い思いを経験しながらようやくここまで来ました。今でももっとコストを下げないといけません。KIOMSで目先の仕事に追われる日々から解放され、ポジティブ・マネジメントができるようになりました。」と成果を教えてくれました。今後の展望は「KIOMS」を他国での生産に応用し「最適地生産」のクラボウインターナショナルとして発展を遂げることだといいます。

アールスリーは課題解決力と費用対効果の高いkintone開発会社

最後に、アールスリーの仕事についてシステム管理課の福嶋さんの感想を紹介します。「KIOMSは内部だけで開発してもできなかったシステムです。かなりの要望に応えていただいており、アールスリーの力を借りたからできたと感じています。開発スピードも2週間と早く、急いでいたのでほっとしました。費用面では大手のベンダーに開発を依頼したらもっとお金がかかっていたと思います。アールスリーは多くの要望に応えていただけて早くてリーズナブルなデベロッパーです。」

おわりに

ハイスピードで費用対効果の高いアールスリーの開発

クラボウインターナショナル様の導入事例いかがだったでしょうか。アールスリーの開発は、目の前で画面を構成する「対面開発」だから開発スピードも高速です。課題解決力のあるツールを提案するのが得意なため費用対効果の高いシステムを作れます。「業務上の課題を急いで解決したい」そんな時こそアールスリーにお声がけください。

取材2017年4月