ジヤトコ株式会社様 事例紹介

公開日:2024-12-26

入社1年目の若手社員が急成長したリプレースプロジェクト。アールスリーほど「同じ目線に立って開発を進めてくれた」開発陣は他にいない

ジヤトコ株式会社
デジタルソリューション部
課長補佐 鈴木 伸重 様
岡田 友希 様
コーポレート品質保証部
課長補佐 小林 俊裕 様
八巻 紘正 様

ジヤトコ株式会社は、自動車のオートマチックトランスミッションや電動のパワートレインメーカーです。中でもCVT(無段変速機)は2008年から世界シェアNO.1となっています。そんな同社ではスクラッチ開発した市場不具合管理システムのリプレースにあたり、新システムの基盤としてkintoneを採用されました。本開発にアールスリーの開発とノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineをご利用いただいた経緯をデジタルソリューション部とコーポレート品質保証部の皆様にうかがいました。

目次

  1. 旧システムの老朽化対応のためにリプレース活動を開始
  2. DX化やデータのサイロ化防止のため、システムの基盤にkintoneを採用
  3. gusuku Customineの開発元であるアールスリーに開発協力を依頼
  4. 複雑なワークフローアプリの見た目と機能をgusuku Customineで実装
  5. アールスリーほど「同じ目線に立って開発を進めてくれた」開発陣は他にいない
  6. 構築したアプリやカスタマイズのスキルトランスファーを実施
  7. アールスリーはDX を促進したい会社の最適なパートナー

1.旧システムの老朽化対応のためにリプレース活動を開始

Q:品質管理の工程管理システムをリプレースしたきっかけを教えてください。

コーポレート品質保証部 小林様

コーポレート品質保証部は、市場で起きた製品の不具合を調査し対策の推進を行う部門です。不具合品を一つ一つ調査して対策を行っており、その工程管理をスクラッチ開発したシステムの「ExpressⅣ」で行ってきました。Expressシリーズはシステムが老朽化して寿命を迎えるたびに刷新していますが、4代目の保守期限が2025 年3月のため今回のリプレース活動を始めました。

コーポレート品質保証部 小林様

2.DX化やデータのサイロ化防止のため、システムの基盤にkintoneを採用

Q:システムの基盤にkintoneを採用した背景を教えてください。

デジタルソリューション部 鈴木様

kintoneを採用した背景には、社内システムの基盤をkintoneにしていこうという会社の方針があります。DX化やデータ活用、データのサイロ化防止などのためです。当社ではkintoneを「自分の業務を改善するために自分でアプリを作る市民開発」を目的に調達部門が2018年に使い始めました。その後、デジタルソリューション部が主導して市民開発を全社に普及させ、2024年にはパソコンを利用する社員のほぼ全員が利用するまでになりました。このような背景があるので新しくシステムを作るならまずkintoneでと考えますし、システムの変更が容易なこともポイントが高いので、デジタルソリューション部はリプレースをkintoneで進める方針を固めました。

デジタルソリューション部 鈴木様

コーポレート品質保証部 小林様

最初、システムの基盤にkintoneを採用することにコーポレート品質保証部は反対でした。私は2代目から4代目の開発に携わっており、複雑なワークフローをスクラッチ開発やパッケージソフトのカスタマイズなどの手法を用い、相当なリソースをかけて開発してきました。kintoneは簡単なワークフローを市民開発で進めるためのシステムと考えていたので、複雑なExpressシリーズはkintoneでは実現できないだろうと考えていたのです。そのため私はExpressに必要な要件を洗い出してそれらをkintoneで実現可能かを問うとともに、他のシステムとも比較検討をした上でシステム基盤を決めるように求めました。約100のExpressの要件とkintoneを含む3つのシステム基盤候補を、意思決定のためのフレームワークDecision Analysis(DA)にかけて比較しました。その結果kintoneはコーポレート品質保証部にとって重要な「実際に使う人が困らない・迷わない・違和感なく使えるシステム」にできることが分かりました。これでコーポレート品質保証もkintoneの採用に納得しました。

3.gusuku Customineの開発元であるアールスリーに開発協力を依頼

Q:今回の開発に、アールスリーの開発や、ノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineをご利用いただいた経緯をお聞かせください。

デジタルソリューション部 岡田様

当社ではノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineを2020年頃に導入し、市民開発に役立てています。今回の「ExpressⅤ」は要件が複雑なシステムのため、開発にgusuku Customineは必須でした。しかし、同ツールを大規模システムのリプレースのために利用するのは初の試みであり、内製でシステムの全体設計から作り込みまでをするのは難しいと判断。gusuku Customineの開発元であるアールスリーには、外部委託の開発とは一線を画す「一緒にkintoneアプリを作る形の開発支援サービス」があるので、ご協力をいただくことにしました。

デジタルソリューション部 岡田様

デジタルソリューション部 鈴木様

kintoneの開発にはノウハウがあると考えています。下手な作り方をすると後になって修正が必要になるでしょう。今回は、kintoneの知見を持つプロに入っていただくことで、ユーザーにとって使いやすく運用しやすいキレイなアプリを目指したいと思いました。それには今回の開発で利用するgusuku Customineの開発元であるアールスリーが最適でした。

4.複雑なワークフローアプリの見た目と機能をgusuku Customineで実装

Q:「ExpressⅤ」の開発の全体像をお聞かせください。

デジタルソリューション部 岡田様

アールスリーにはシステムの全体設計、アプリのサンプルづくり、アプリ開発、スキルトランスファー(アプリを引き継ぐためのレクチャー)をお願いしました。最初に既存システムの設計書と約100個の要件をお渡しし、システムの画面を一通り見ていただきました。その後はアールスリーが作成したアプリ構成図とサンプルアプリをもとに話し合いをしながら、詳細のカスタマイズを行いました。話し合いはオンラインミーティングやkintoneの課題管理表アプリで行いました。アールスリーに開発を主導していただきましたが、主要アプリの中にはジヤトコ側が開発を担ったアプリもあります。

Q:完成した「ExpressⅤ」の紹介をお願いします。

「ExpressⅤ」では、レコードを登録するとアプリ構成図の縦の流れである「受付情報登録」→「現品調査報告書」→(「調査依頼書」)→「課題審議票」→「クレーム対策依頼書」の順に業務が進みます。アプリの全工程を終えたら製品の不具合の調査とその対策採用までが完了します。各アプリの基本機能はすべてワークフローです。kintoneの基本機能のワークフロー(プロセス管理)では今回作りたい複雑なユーザーインターフェースを作成できないため、見た目や機能の多くをgusuku Customineで実現しました。

「調査依頼書」の画面。上部には複数のボタンがある。ステータスを次に進めるものや差し戻しをするためのものなど、複数のボタンをgusuku Customineで実装した。

ステータスを進めるボタンを押すとポップアップが表示され、申送りのコメントを記入できる。このコメントはレコード詳細画面のコメント欄にステータス状況とともに自動で記入される。申送りを受けた相手はメンションされるとともに、メールにも通知が飛ぶ。

このアプリではワークフローが複数ステップある。中にはスキップできる項目もある。これらのワークフローは全てgusuku Customineで実装した。

5.アールスリーほど「同じ目線に立って開発を進めてくれた」開発陣は他にいない

Q:開発の中で印象的だったことはありますか?

コーポレート品質保証部 小林様

開発前は、パッケージ、及びカスタマイズで構築されたシステムをkintoneで再現できるという意見に懐疑的でした。ところが、開発が始まり設計書・要件・実際の画面の動きを伝えると、すぐに旧システムに近しいものができて上がってきたのです。旧システムはワークフローに特化したパッケージでしたので、同等の機能がkintoneで実現されているところを目の当たりにした時はとても驚きました。同時にアールスリーの開発スピードにも驚愕しました。通常のシステム開発は基本設計や詳細設計書を作り、中身を一生懸命チェックしてから作り始めるものです。設計書を作成するフェーズでは普通、最低でも2〜3ヶ月程度はかかると考えています。ところが今回の開発では、1週間くらいでサンプルのアプリが出来上がってきました。未知のスピード感でした。また理解力が高く問題解決のスピードも速かったです。これまでお付き合いしてきたベンダーさんならサンプルを確認して修正点を伝えてから早くて1〜2日後にお返事がありましたが、アールスリーの場合は数分〜数時間以内にアプリの修正まで終わっていました。やり取りでは問題解決方法を複数提案してくれるだけでなく、機能の目的を踏まえたおすすめの案も伝えてくれるので、柔軟性の高さも感じました。なおアールスリーとのやり取りの多くはkintoneアプリの「課題管理表」で行いました。開発前半はアールスリーから作る上で分からない点の質問が、後半は当社から修正を依頼するための起票が多くされました。やり取りで主に時間がかかるのは「何をすべきかを明らかにするところ」で、すべきことが定まるとアプリの修正はほんの一瞬で終わりました。課題の解決までに1週間かかることはありませんでした。また、この開発を通じてデジタルソリューション部の岡田さんの急成長に感心しました。入社1年目で本開発の担当になった時は見るからに何も分からない状態でしたが、ExpressVの開発を通じて急成長するのが見て取れました。超優秀です、コーポレート品質保証部の中でも評価は高いです。

課題管理表アプリ。1課題につき1レコードを立てて話し合いを進めた。

デジタルソリューション部 岡田様

私はクレーム対策依頼書の開発を担いました。設計に悩み立ち止まった際、アールスリーに相談出来る環境には非常に助けられました。メンテナンス性に欠けるような下手な作り方は避けたく、ユーザフレンドリーかつ最適化されたアプリを目指したため、プロの裏付けを得ながら開発を進められる点が良かったです。本プロジェクトに参画した当初、私はgusuku Customine初心者でしたし、足を引っ張っているという自覚がありました。また、本来であれば、もっとデジタルソリューション部がリードして、より着実な要件定義をすべきだったと反省もありますが、業務部署の小林さんに開発を通じて急成長したと言っていただけて大変励みになりました。今回のExpressVの開発で得た知見を今後に繋げていきます。

コーポレート品質保証部 八巻様

アールスリーほど「同じ目線に立って開発してくれる!」と実感できた開発陣にはこれまでお会いしたことがありません。一緒に私たちの業務のことを考えながら、提案もしてくれながら、期日まで仕上げていただくというような、そういう開発ができたことが非常にありがたかったです。

コーポレート品質保証部 八巻様

アールスリー浅賀

嬉しいお言葉をありがとうございます。アールスリーではkintone開発をアプリの全体設計からスタートします。アプリの構成が決まり次第サンプルアプリを作成し、お客様と一緒にサンプルの動きを見ながら完成に持っていきます。ウォーターフォール型の開発で作成するような設計書は作りません。今回は既存システムをそのままリプレースする案件だったので、アプリ構成は初回の打ち合わせが終了した時点で見えていました。また和田の作業が速いこともプラスに働き、スピード感を感じていただけたと考えています。

アールスリー和田 

検討を進めるうえで1番時間のかかる、「何をどうすべきか明らかにする」についてもkintoneの画面操作を交えて議論や検討をすることがあります。あらかじめkintoneアプリを作り変えて「こういうことですか?」とミーティング中にお見せすると「そうじゃなくてこう」といった感じで考え方やイメージが伝わりやすく、かつ少ないやり取りで完成形を見いだせます。私はこの方法が1番進行が早く、納得感も得られ易いのではと考えています。

アールスリー浅賀(左)、和田(右)

6.構築したアプリやカスタマイズのスキルトランスファーを実施

Q:「ExpressⅤ」の管理をアールスリーから引き継ぐために準備を行ったそうですが、どのような内容だったのでしょうか?

デジタルソリューション部 岡田様

今後の運用は自社で責任を持ってやっていくことになるので、作ったアプリの動きを見ながらカスタマイズ内容の説明を受ける機会「スキルトランスファー」を設けました。小林さんと八卷さんには、事前にサイボウズ公式の教育コンテンツを使ってkintoneの勉強をしていただき、一定のスキルレベルに達した上でスキトラに臨みました。各アプリのカスタマイズにおいて、「何をトリガーにどんな処理が組まれているのか」「もし不具合が起きた場合にどう対応するか」を教えて頂きました。

7.アールスリーはDX を促進したい会社の最適なパートナー 

Q:最後に、スクラッチ開発のシステムをkintoneにリプレースしたいと考えている企業様や、アールスリーの開発を検討されている方にメッセージをお願いします。

デジタルソリューション部 岡田様

スクラッチ開発のシステムをkintoneにリプレースする場合、複雑な要件やセキュリティコントロールも重要視されるでしょう。アールスリーがいれば、それらを満たしたkintone開発が実現できます。また、kintoneの開発スキルが浅い会社さんでも、アールスリーと一緒に開発をすることを通じて鍛え上げられながらシステムを作っていけるので内製化も目指せます。kintoneに限らずですが、アプリの作り込みに比例して、システム不具合の恐れも大きくなります。アールスリーと協力しながらテストケースを洗い出し、適切かつ丁寧なテスト工程を踏むことで、更に精度が高いkintoneアプリを実現できると思います。アールスリーはこれからDXを促進したい会社さんにとって最適なパートナーになり得るのではないでしょうか。

貴重なお話をありがとうございました!

取材 2024年6月


アールスリーでは、本案件のようなkintoneアプリの開発や内製化に繋がる構築支援サービスをメニュー化し、2024年4月に「キミノマホロ for kintone」としてリリースいたしました。作業内容やメニューごとの価格体系を載せていますのでぜひホームページでご覧ください。