日本環境分析センター株式会社様 事例紹介

公開日:2024-12-25

Excelで作成していた数値・画像・チャートを含む複雑な報告書がkintoneで帳票出力可能に。丸1日がかりの作業がボタン1つで完了!

日本環境分析センター株式会社
営業本部 部長 松井 円 様
神奈川支社 支社長 山本 弘子 様

日本環境分析センター株式会社は、アスベスト(石綿)分析や水質調査、土壌分析などを行う会社です。同社では、アスベスト(石綿)分析業務における分析結果の入力と報告書の作成システムをkintoneで構築されました。本開発にアールスリーの開発と、ノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineをご利用いただいた経緯とその効果を伺いました。

もくじ

  • アスベストの分析結果報告書をExcelでつくる業務が大変すぎる
  • 「難度の高いプロジェクトだが、できる方法を一緒に考えよう」と提案してくれた
  • 数値、画像、チャートを含む複雑な報告書をExcel帳票として出力できるアプリが完成
  • 「やはり報告書を出力できるようにしたい!」との要望に、開発者の鈴木が奮闘
  • 1日がかりだった報告書の作成も、ボタン1つで終了するように
  • アールスリーは私たちの希望に寄り添い、できる方法を考え抜いてくれる

アスベストの分析結果報告書をExcelでつくる業務が大変すぎる

Q:今回開発したシステムに関する御社の業務について教えてください。

松井様

当社では、建物の解体・改修を行う会社様からのご依頼で、建物のアスベスト含有分析を行っています。厚生労働省が定める「石綿障害予防規則 第3条第5項に基づく事前調査における石綿分析結果報告書 様式」にそって報告書をつくり、お客様に納品します。この報告書は、アスベスト含有のありなしだけでなく、アスベストの種類や顕微鏡写真、X線回折分析のチャートなど数多くの要素からなりたっています。1案件の検体数は数個〜100個くらいまでの幅があり、報告書は検体の数だけ作成し、印刷してお客様に納品します。

報告書のイメージ
厚生労働大臣 アスベスト分析マニュアルより引用

Q:アスベストの含有分析の業務において課題だった点について教えてください。

松井様

業務フローがアナログで、人手も時間もかかりすぎていました。さまざまな課題がありましたが、中でも負荷が高かったのは事務員の作業でした。例えば、報告書を検体別にファイリングする作業では大量の書類を手作業で並び替えるため、事務員が3人で取り組んでいましたがそれでも追いついていませんでした。また分析の専門家ではない事務員が分析データをExcelに入力していたので転記ミスがおこりやすく、ミスを訂正するための二重チェックにも苦労していました。私たちはこの課題を、報告書を作成できるアプリのようなものを開発し、そのアプリに分析者が結果を直接入力できるようにすることで解決できるのではないかと考えて、業務改善に乗り出しました。

「難度の高いプロジェクトだが、できる方法を一緒に考えよう」と提案してくれた

Q:課題を解決するためのアプリにkintoneを選んだ経緯を教えてください。

松井様

一からシステムを開発する案とkintoneを使う案を比較検討しました。一からシステムを開発しようとすると費用が高すぎる、開発期間が長すぎる、通常業務と並行で開発を行う必要があることから見送ることになり、kintoneを選択しました。

Q:アールスリーにkintoneアプリの開発をご依頼いただいた経緯を教えてください。

サイボウズに開発パートナーを3社紹介いただきました。私たちは3社に「Excelによる報告書と同じ見た目の書類を出力できるアプリを作りたい」と相談しました。アールスリー以外の2社は報告書の様式が複雑すぎるため開発はできないというニュアンスのお返事でした。

これに対してアールスリーからは、不可能ではないものの非常に難しいとしたうえで、開発では優先順位が大切だから、優先度の高い要望を実現できるように一緒に考えて答えを見つけていきましょうと提案がありました。私たちにとって優先度が高いのは、入力を事務員ではなく分析者にしてもらうことでした。報告書の出力はkintoneに入力したデータをダウンロードして、マクロを組んだExcelで処理する方法で対応できるとのことだったので、まずは分析者にとって使いやすいアプリをアールスリーと作ることに決めました。

数値、画像、チャートを含む複雑な報告書をExcel帳票として出力できるアプリが完成

Q:開発したkintoneアプリについて教えてください。

山本様

完成したkintoneアプリは、検査のご依頼、案件の受付、分析結果の入力、報告書の出力までを一貫して行うことができます。

Kintoneアプリによる新しい業務フロー

  1. 依頼フォームで申し込み
  2. 案件アプリで受理
  3. 検体レコードを作成(検体数の数だけ作成)
  4. 分析アプリにレコードを作成し結果を入力
  5. 社内チェック
  6. 報告書を出力してお客様に送付

Q:初めてのkintoneアプリの開発だったと思います。開発の様子やご感想をお聞かせください。

山本様

開発では、まず業務の洗い出しからはじめました。大阪本社と神奈川支社で実施している分析方法が違ったり、工程ごとに分業をしていたりするので、業務内容の把握は大変でした。また、誰にとっても使いやすいアプリにしたかったので、入力項目をどのようにするかで悩みました。この時、アールスリーの鈴木さんが大阪本社を見学して業務内容を把握してくれたのですが、見学後に私たちの業務への理解度がぐっとあがったので驚きました。

その後、早い段階でお試しのアプリができあがりました。アプリの試作品を見た瞬間は衝撃的でしたよ!これは業務がラクになるし、格段に速くなりそうとワクワクが止まりませんでした。アプリの使い勝手について鈴木さんにフィードバックすると素早く対応してくださいました。例えば、分析工程ごとにタブを作成し、担当箇所が認識しやすいように工夫してもらいました。また、案件の取り違え防止策を希望したところ、画面の右上に案件番号を赤字で表示してくれました。この工夫は紙と同じような使い勝手の良さを実現しており、入力を担当する分析者にとても受けがいいです。

案件管理アプリ

「やはり報告書を出力できるようにしたい!」との要望に、開発者の鈴木が奮闘

Q:開発の早い段階で、報告書の作成方法を、マクロを組んだExcelを使う方法から、kintoneから直接出力する方法に変更したと伺いましたがその経緯を教えてください。

松井様

契約前は、報告書を今まで通りの見た目で出力することにこだわっていました。全く同じ見た目の報告書をkintoneで作ることは難しいと説明を受けた上で、承諾して開発を依頼しました。しかし開発をはじめてすぐに、やはりExcelを業務フローに残してはいけないと思いました。ここでExcelを残すと今度はkintoneとExcelのデータが合っているかを確認することになり、アプリを作る意味がないと思ったのです。

私は、報告書の体裁を今と同じ形にすることよりも、正しいデータを楽に出せる方が重要と判断し、kintoneでできる方法に歩み寄るので、今の報告書に近い見た目の成果物を出力できるアプリにしてほしいと、開発内容の変更をお願いしました。報告書の体裁が複雑なので開発者の鈴木さんは大変だったと思いますが、蓋を開けてみると、以前のものより見やすく美しい体裁の報告書を出力できるようになりました。

アールスリー鈴木

本件の報告書(帳票)はとても複雑な体裁だったため開発は困難を極めました。作り方をすぐに思いつけないご要望も多々あり、さすがにこれは無理だと思った後で、寝て起きたらアイデアを思いついて解決できたこともありました。知恵を絞り出すような開発でしたが、何とか全ページを出力できるようになり、ご希望を叶えることができて本当によかったです。

1日がかりだった報告書の作成も、ボタン1つで終了するように

Q:kintoneアプリの導入効果についてお聞かせください。

山本様

報告書を作る作業がボタン1つになり、格段に早くなりました。例えば分析結果が出た後に80検体分の報告書を作るには丸1日必要でしたが、現在はアプリのボタンを押すだけで終了します。本当にラクになりました。パソコンに向かう時間も減り、疲れも改善したと思います。

手書きのシートを廃止し、分析をしながらアプリに入力できるようになったことで作業時間も短くなりました。例えば、私が担当している分析方法では、1検体を取り扱う場合に1時間ほどかかっていましたが、kintoneアプリでは30分以下で報告書の作成まで終わります。

松井様

入力ミスも大幅に減少しました。あるスキルの高い事務員に入力を頼り切っていて、精神的にも作業量的にも負担が集中していましたが、これを軽減できました。同時に管理者がデータをダブルチェックする負荷も減りました。他にも、kintoneアプリから報告書を体系的に出力できるようになったことで、事務員が検体別に報告書を並べ替える作業も不要になりました。業務改善を企画してから1年以上、道のりは大変でしたが、大きな成果を得ることができました。

アールスリーは私たちの希望に寄り添い、できる方法を考え抜いてくれる

Q:狙い通りに効果が出ているのですね!担当したアールスリー鈴木にメッセージをお願いします。

松井様

今回の開発は難度の高いものでしたが、kintoneアプリが初めてのこともあり、その大変さをわからないまま沢山の要望をお願いしました。鈴木さんは難しいといいながらも、最後にはそれらをやりきってくださってアプリができましたし、現場が使いやすいようにと色々な工夫を盛り込んでくれました。本当にありがとうございます。今後はアプリをもっと活用して納期を短くしていきたいです。

Q:最後に、アールスリーの開発をご検討中の方や、kintoneで複雑なExcelやPDFによる帳票出力を実現されたいと考える方々にメッセージをお願いします。

松井様

アールスリーは私たちの希望に寄り添ってくれました。kintoneにはできないことも多々あると思いますが、できないで終わるのではなくこの方法ではどうですかと提案をくださるので、結果として希望通りのアプリができました。業務課題を解決して前に進むことが一番なので、アールスリーにお願いしてみてはいかがでしょうか。

左から松井様、山本様、アールスリー鈴木


アールスリーでは、本案件のようなkintoneアプリの開発や内製化に繋がる構築支援サービスをメニュー化し、2024年4月に「キミノマホロ for kintone」としてリリースいたしました。作業内容やメニューごとの価格体系を載せていますのでぜひホームページでご覧ください。