公開日:2022-12-15
gusuku Customineとアドバイザリーサービスの併用で、kintoneにおける全社員の手数が激減しました
ホバート・ジャパン株式会社
代表取締役 三木 商吉 様
ホバート・ジャパン株式会社は、130年の歴史を持つ世界最大級の業務用厨房機器メーカーで、数十種類のアプリをサイボウズ社のkintoneで構築されています。さらなるDX化を目指し、難易度の高いカスタマイズに挑む際、ノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineとアールスリーのアドバイザリーサービスを併用されました。今回は代表取締役 三木商吉様に、アールスリーのサービス利用の決め手とその効果についてうかがいました。
コロナ禍中、リモートで業務を行うための情報共有手段としてkintoneを導入
Q:はじめにkintoneの導入理由について教えてください
三木様
kintoneの導入を決めたのはコロナ初年度の2020年6月です。在宅ワークになり、リモートで業務を行うための情報共有手段が必要でした。最初はkintoneの素人だったので、日報などイージーなものから取り組みはじめ、半年で約20個のアプリを作りました。kintoneを使うことは当社にとってのDX化(デジタルトランスフォーメーション)のビッグステップアップであり、使うことに感動がありました。
修理依頼の管理ができるアプリを作りたい
Q:特にkintoneで解決したかった課題は何でしたか?
厨房機器の修理依頼の管理です。ホバート・ジャパンのハイクラスな厨房機器は、有名なホテル・レストラン・テーマパーク・病院・社員食堂・クルーズ船・軍艦などの厨房で利用されています。当社の機器はキッチンの衛生性を守ることと、人手不足の解消のお手伝いをしているので、食洗機が壊れたらキッチンは大変です。漫画のワンシーンのようにお皿が積み上がり、現場は殺伐とするのです。
以前はそんな修理依頼をExcel・書類・ホワイトボードを利用して管理しており、いつ誰がどこに修理に行くかをホワイトボードに書き出したり、管理用のExcelをメールに添付して情報共有をしたりしていました。1日20〜30件の修理に対応するのですが、Excel時代には約束をしたのに修理に行っていないなどのヒューマンエラーが一定の確率で発生しており、苦情のお電話をいただいていました。お客様には申し訳ないし、自分たちも辛かったです。この課題を解決するために作ったのが「コール管理表アプリ」です。
自社開発を目指す自分たちの目線に合った提案が決め手
Q:gusuku Customineを見つけ、アールスリーに問い合わせをするまでの経緯を教えてください
最初は日報・タイムカードなど必須なアプリから作り始め、部署間で仕事の依頼をするためのアプリなど、色々なアプリを開発していました。デフォルトのkintoneの機能には成約があるので、最初はJavaScriptを勉強して頑張っていました。しかし「太字にしたい」など、小さなことを実現するにも手間がかかるので途中でやっていられない気持ちになりました。また、この頃には日報とカレンダーの連動や、東西支社のコール管理表アプリの統合など、具体的な課題がありました。kintoneで社内の情報共有ができたことで、もっと手数を減らしたいと、さらなるDX化への意欲が出てきたのです。
私たちは2つの理由で自社開発を希望していました。1つ目はスピードです。自社開発ができると開発会社とのやり取りによるタイムラグが発生しないので、アプリが早く完成すると思いました。2つ目はkintoneの開発が面白いことです。ユーザーフレンドリーなツールで開発がとても楽しいので、これからも自分達で開発したいと思いました。
そこでインターネットでkintoneのカスタマイズ方法を調べたり、kintoneの開発会社をリストアップしました。この過程で何社か相談をしましたが、プロによるアプリ開発の提案ばかりで、自社開発を支援してくれるサービスは存在しませんでした。その後、リストの中にあったgusuku Customineのことを調べたところ、使いやすそうですし、kintoneの機能の制約を自分たちで乗り越えられそうに思いました。こうして今回の開発課題について、gusuku Customineの開発元であるアールスリーに相談をすることにしました。
Q:今回はgusuku Customineとアールスリーのアドバイザリーサービスをセットで利用いただきましたが、利用の決め手を教えてください
アールスリーの大澤さんとの打ち合わせが大変スムーズに進んだことと、私たちの目線に合わせてご提案をいただいたことが大きかったです。私たちがソフトランディングしやすいように、開発のアドバイスをします、カスタマイズのサンプルを用意します、困難な箇所はアールスリーが開発しますといった内容の提案でした。既に何社かあたった後であり、依頼に迷いはありませんでした。
アールスリー技術者 大澤より
この時の課題は2つで、コール管理表に登録された修理予定をカレンダーに自動的に反映することと、残業申請や休暇申請アプリに登録された内容をタイムカードに自動で反映することでした。自社で継続的に開発・メンテナンスをしていきたいというご要望をいただいていたので、今回はアドバイザリーサービスをご提案しました。一般的には、いきなり「こういったカスタマイズを入れてください」といってもなかなか作ることは難しいです。そこで、いくつかのカスタマイズについてアールスリーがサンプルを作り、それを参考に必要なカスタマイズを実施していただく形での進行をおすすめしました。また、修理予定をカレンダーに反映させる方法として、kintoneプラグインのカレンダーPlusやKOYOMIなどをご提案し、触ってみてダメなら他の方法を提案することをお伝えしました。これについては最終的にサイボウズGaroonを採用いただいています。
多忙で開発時間を十分に確保できない中、打ち合わせがペースメーカーとして機能
Q:アドバイザリーサービス中の取り組みと、その感想を教えてください
アドバイザリー期間の中心的な取り組みは、タイムカード(残業申請や休暇申請アプリに登録された内容をタイムカードに自動で反映)とコール管理表(登録された修理予定をカレンダーに自動的に反映)の2つでした。
私と営業部の社員、サービスエンジニアの3人で開発をしていたのですが、急な修理の依頼が入るなどで開発にまとまった時間をとるのが難しく、私たちがボールを持った状態で開発が止まることがしばしばありました。タイムカードは2ヶ月ほどで完成しましたが、途中に部分的な成果物は出しつつも、重めの開発内容のコール管理表アプリが完成したのは依頼から1年後でした。
アドバイザリーサービスでは月に2回打ち合わせを持ちます。自社内の開発が遅れがちになる中で、この打ち合わせがペースメーカーとして有効でした。またkintoneの「課題管理」というスレッドで相談を進めていたので、メールや電話でのやり取りと違い自分の時間に合わせてQ&Aができたことも良かったです。開発が遅れたのは自分の責任ですが、質問をしては丹念にお返事をいただいて最終的には完成までたどり着きました。
コール管理表開発の最終段階では、東西支社のアプリのデータを1つに統合する作業が必要で、データの引っ越しを自力でやろうとしたのですが行き詰まりました。これを別途注文する形でアールスリーの沖さんに依頼できて助かりました。差の大きい2つのデータを半ば強引にでも統合できたのは沖さんのおかげです。
アールスリー技術者 沖より
新旧のコール管理表アプリのデータの違いが大きく、うまくデータを整合できていない状況でした。大なたを振るうような感じで、このデータは不要、このデータも不要という具合に、1つのアプリに乗せるためにデータの取捨選択を行っていただきました。
JavaScriptでの苦労が一瞬で解決する、お世辞抜きで使いやすいツール
Q:自社開発をするにあたりgusuku Customineの操作性はいかがでしたか?
kintoneは機能のミニマム感が凄いですよね。例えば文字の色を変えたい・太字にしたいというのは普通に出てくるニーズですが、それさえ許しません。これまではJavaScriptで苦労していたのですが、gusuku Customineではそれらのカスタマイズが一瞬で終わりました。これが一番の凄さです。
gusuku Customineの使い方は導入時にサイボウズ製品の研修プログラム「クラウドユニバーシティ」で学びました。gusuku Customineはお世辞抜きで使いやすいツールです。ユーザーフレンドリーで、何かの探し方・選び方・使い方などがとても分かりやすい。できるカスタマイズの網羅性も高く「こういうのがやりたい」というものが先回りして用意されています。またプラスアルファの機能を使う場合、その実装方法は難易度が上がるものと思っていたのですが、gusuku Customineではそれすらも説明書なしでできるほどでした。
経営陣のデータ分析が効率化され、オペレーターの二度手間が激減
Q:gusuku Customineによる効果を教えてください
コール管理表アプリはもともと東日本、西日本それぞれの担当者用に2つありましたが、今回の開発で1つに統合しました。その効果は2つあります。
- 経営陣のデータ分析のスピードと質が飛躍的に向上した
- 現場のオペレーターの二度手間が減った
会社としてはアプリを統一し全体の数字を把握したいですが、現場の人としては自身の担当の箇所だけが見たいです。今回のカスタマイズで両方のいいとこ取りをしました。経営陣のデータ分析効率が向上した点については、データが集約されたことで2アプリのデータを集計する作業が無くなり、経営数字把握の効率が上がりました。例えばチェーン店のお客様のデータを確認する場合、東西それぞれのアプリにお店の情報が入っていたので別々のアプリからデータを抽出しExcelで合体させる必要がありました。今はアプリ上でグラフ化できますし、データのエクスポートも不要です。以前と全く違います!
現場のオペレーターにとっては作業の二度手間が無くなりました。コール管理表は修理の予定を決めるアプリです。これまではアプリで予定を決めた後に、手入力でカレンダーに予定を入力していましたが、カスタマイズしたことで予定がカレンダーに自動反映されるようになりました。またアプリにプルダウンメニューの設定などを設けることで、手入力によるヒューマンエラーもなくなりました。ユーザーの所属に応じてアプリの一覧画面を切り替える設定もしました。東日本の担当が見れば東の一覧が見え、西日本の担当が見れば西の一覧が見えます。結果として皆の手数が広く薄く減りました。全社員の手数が減ったことが最大の効果ですね。これはgusuku Customineならではの効果です。
Q:最後に、gusuku Customineやアールスリーのアドバイザリーサービスをご検討中の方にメッセージをお願いします
私たちにとってkintoneでDX化をしたことはビッグステップアップでした。kintoneを使う中でどんどん欲がでてきて、さらに業務の手数を減らしたいと始めたのがgusuku Customineとアールスリーにお世話になっての取り組みでした。欲を出して良かったですし、まだまだカスタマイズをしたいです。gusuku Customineやアドバイザリーサービスは、私たちのように欲が出てきたステージで、もっとDXを進めたい方にはもってこいです。少しでもアプリ開発に興味があって自分たちで開発することにバリューを感じる人たちにはきっとフィットするでしょう。
貴重なお話しをありがとうございました。
取材2022年9月