公開日:2023-09-01
多数のプラグインをgusuku Customineに集約、申請業務だけで毎日2~3時間の時短を実現
早川産機株式会社
業務部 部長代理 髙橋 尚樹 様
業務部 主任 堀 摩実 様
早川産機株式会社は昭和49年に設立され、今年で50年目を迎える老舗企業です。飲料ディスペンサーや自動販売機、各種部品の販売を手掛けており、ファストフードやレストラン、映画館などに多く導入されています。元々は外国から入ってきた自動販売機の部品を供給していたのですが、企業の成長と共に本体も扱うようになりました。とは言え、やはり部品を扱えるのが強みで、今でも多く販売されているそうです。
歴史の長い企業あるあるですが、早川産機でも Excel で情報を管理していました。当然、あるあるの課題も発生します。Excel ファイルがメールに添付されて飛び交い、共有サーバーに入っているファイルが最新なのかどうかがわからず、結局誰かに聞くという作業が発生していました。
kintone 導入後にはなりますが、木村文乃さんが kintone の女神に扮するCMで、「表計算、最新はどいつだ~!」と叫ぶ男性を見て、まさに以前の状況と同じだったと感慨深かったそうです。
今回は、そんな状況から kintone を導入し、gusuku Customine(以下、カスタマイン)を活用して、複雑な業務を Excel から解放、大きな業務改善を実現した経緯について、早川産機 業務部 部長代理 髙橋尚樹氏と業務部 主任 堀摩実氏にお話を伺いました。
2017年、髙橋氏は Excel が飛び交う状況をなんとかしなければ、と思っていた時に、ある展示会でサイボウズのブースに立ち寄り、kintone と出会うことになりました。説明を受けたところ、「まさにこれだ!」と直感し、kintone のトライアルをすぐに申し込み、翌月には正式導入したそうです。
「今まで、システムはベンダーさんに頼んで作ってもらうことしか頭になかったので、自分でアプリを作れるのは衝撃的でしたね。しかし、導入して割とすぐに、意外とできないことも多いんだな、と気が付きました」(髙橋氏)
6年前の kintone は今ほど基本機能が充実しておらず、関数もあまり使えなかった、と堀氏。当時は、フィールドの内容によって表示、非表示を切り替えたいというニーズがあったそうです。
「お店に入れている機材の修理を行うために、電話での問い合わせに対応するアプリがあります。機材によって、質問する内容が異なるので、kintone に表示する項目を変えたかったのです。不要なフィールドが出ていると、ユーザーが間違えて入力することがあるからです」(堀氏)
こういった課題を解決するため、各アプリにいくつものプラグインを導入して、課題を解決していきました。正常に動作しているアプリはいいのですが、中には複数のプラグインが競合し、うまく動作しないというケースも発生しました。一つのアプリに10個以上のプラグインが入っていることもざらだったそうです。
競合しているプラグインの検証にはとても手間がかかりますし、解消することも困難です。そこで、たくさんのプラグインを安易に使うのをやめよう、と考えたそうです。
また、プラグインの競合以外にも抱えていた課題として、テーブルの使い勝手の問題もありました。
「最初に kintone アプリを作った時は、テーブルが便利だと感じていました。しかし、テーブルを CSV に出力すると使いにくいし、計算式も使えないという制限があって、何とかしたいと思っていました」(堀氏)
そんな時、当時サイボウズが配布していたプラグインの冊子を眺めていた髙橋氏は、カスタマインを見つけます。
「2018年に急にカスタマインが出てきて、これはやばい、どこまでできるんだろう、と驚きました。すぐに触ってみたのですが、なんか自分でプログラム書いたような気持ちになりました」(髙橋氏)
ユーザーの利便性を追求して1アプリに38ページものカスタマイズを行う
2018年9月、ネックになっていた「案件管理」アプリのために、カスタマインを正式導入していただきました。実際に、動作している画面を見せてもらったのですが、なんとカスタマインの設定画面が38ページもありました。ものすごくカスタマイズされていたのです。
例えば、顧客番号から情報を入力したい場合、ルックアップでは取得ボタンをクリックする必要がありますが、その手間を省きたいと考えました。カスタマインのカスタマイズで、顧客番号を入れると自動で顧客情報が入力されるようにしました。さらに、番号がわからない場合にも、住所や店舗名の一部で検索できるようカスタマイズしています。
「他には、委託先と利用するアプリはゲストスペースに置いているのですが、社内スペースにあるアプリのレコードを表示するために、カスタマインを利用しています。基本機能では、同じゲストスペースの中にあるアプリの情報しか持って来られないので、重宝しています」(堀氏)
新しい機械に関する問い合わせの場合は、受電者もその機材の問い合わせには慣れていないので、カスタマインでポップアップを出し、電話相手に確認してほしい項目を表示するようにしています。このカスタマイズは現場から要望があって追加しました。とは言え、実は現場でアプリを利用するユーザーは、カスタマインのカスタマイズも kintone の基本機能だと思い込んでいるそうです。もちろん、それでも構わないどころか、カスタマインの面目躍如といったところでしょう。
「弊社は、なぜか分からないのですが、昔からカタカナは半角で入力しています。その社内文化をみんなに守ってもらうのが手間なので、保存する時に強制的に半角にするカスタマイズを入れています。そんなに大きな問題ではありませんが、見慣れている状態に合わせました」(堀氏)
社内利用する「発注依頼」アプリでもカスタマインを活用しています。営業や事務が仕入れてほしい商品がある場合、購買の部署に発注申請を行います。購買部門では、発注可否を判断するために、出荷動向の参考として販売管理システムのデータの閲覧が必要でした。そこで、従来は販売管理システムから kintone に取り込んでいるデータを CSV で出力し、ピボットテーブルで整形した表をコピーし、リッチエディターフィールドに貼り付けるという作業をしていたのです。
さらに、コピーしてきた表だけでは発注可否の判断材料として足りない場合もありました。受注残や発注残、倉庫別在庫数、ロット別購買単価、組立品の場合は親の商品情報など、出荷動向以外の様々な情報を基幹システムで確認しにいく必要があったのです。
これは手間がかかりすぎます。テーブルに入っている情報の関連レコードがわかればいいので、カスタマインの「q関数」で取って来られるようにしました。そのおかげで、承認者は在庫数を見つつ、本当に売れるのかどうかをリアルタイムにチェックできるようになりました。
※q関数とは:複雑な条件でレコードを取得する際の補助となる関数
「このアプリは最高傑作です。依頼する人はピボットの表を貼り付ける必要がなくなりました。申請数は毎日、何十件もあるため、1日に2~3時間の時短になっています。また、承認する側の作業もとても楽になりました。以前は、依頼者の貼った表が何日前のものかわかりませんでしたから、都度基幹システムを見に行く必要がありました。それが、最新の情報を元に判断できるようになりました。これは大きなメリットです」(高橋氏)
業務単位・伝票単位の通知が社内浸透成功の秘訣
受注した案件の情報は、kintone の見積アプリから CSV でエクスポートし、基幹システムにインポートしているそうです。その際、「kintone 側でエクスポートすべき案件があるか?」を判断するために kintone の基本機能での通知を行っていましたが、作成した見積もりが10枚あれば、10通の通知が kintone に届いてしまいます。数が多いと通知を確認し、消すだけでも手間がかかります。必要なのは件数なので、まとめて通知してほしいというニーズがあったそうです。
そこで、カスタマインの Job Runner で Webhook を利用し、ビジネスチャットの「LINE WORKS」にメッセージを投稿するようにしました。定期実行で見積りアプリを読みに行って通知しているので、kintone アプリを見に来る必要はありません。加えて希望者には、営業が売り上げている実績を通知することもしているそうです。
kintone の単位に合わせるのではなく、業務単位や伝票単位で通知することで、ユーザーが使いやすくすることを念頭に置いているところが社内浸透に成功した理由でしょう。また、社員のニーズに応え続けていると、言えば改善してもらえるという安心感が生まれ、kintone を使ってくれるようになるそうです。
わからないことがあればチャットサポートを活用して解決する
ものすごい活用度ですが、毎回すんなり構築できているわけではありません。課題があっても、どの機能を使えば解決できるのかわからないこともよくあるそうです。そんな時、堀氏はカスタマインのチャットサポートを活用していました。
「カスタマインはサポートがいいですね。今日も相談したのですが、返事が的確なので、結構活用させてもらっています。こういうことをやりたいのですが、何か方法ありませんかと聞くと、解決することが結構あります」(堀氏)
ありがたいお言葉です。ぜひ、サポートには遠慮なくご相談いただければと思います。
以前は、kintone のアプリ間連携をするために、データ連携ツールを利用していたそうです。カスタマインの月額プランを契約されており、アプリスロットをやりくりするためです。今は「年額1000」プランを契約していただいたので、カスタマインで連携するようになったそうです。
「私たちしかデータ連携ツールを触れないので、以前はユーザーが情報を更新したい時には、連絡してもらっていました。しかし、カスタマインで連携を構築しておけば、更新したい人がボタンをクリックして自分で操作できるようになります。ユーザーが自分でできるようになると、ユーザーの気も楽ですし、管理側の手間も省けます」(堀氏)
最後に、今後の展望について伺いました。
「連携サービスやプラグインに何か問題が発生した時はしっかりサポートしてもらいたいので、きっちりしたところが提供しているものに集約したいです。そして、カスタマインがあれば何でもできます。そのため、基本的にカスタマイズはカスタマインにすべて寄せていこうと考えています。そうすれば大体の課題が解決するので、あとはもうそこを粛々とやるだけです」と髙橋氏は締めてくれました。