公開日:2019-08-21
「gusuku」シリーズのサービスを開発現場でフル活用kintoneでの開発を安全かつ効率的に改善
【課題】数百人が業務現場で使う全社の基盤ツールとしてkintoneを採用、開発業務の負担が増大
「JANet(ジャネット)」や「Smart-C」など、アフィリエイトサービスを中心にして成長してきた株式会社アドウェイズ。フィーチャーフォンしかなかった2001年の創業以来、時流やデバイスの変化に応じてサービスを拡充。スマートフォン向け広告配信サービス「AppDriver」や、子会社であるBulbit株式会社が開発する国内最大級のモバイルアプリ向け全自動デジタルマーケティングプラットフォーム「UNICORN」などを提供し、各サービスでアドフラウド対策にも本格的に取り組むなどオンライン広告を取り巻く環境とともに進化してきました。
同社がkintoneを導入した当初はテスト的な側面が強く、1年ほどの間は一部のユーザーだけで使われていました。全社に広がるきっかけになったのは、業務基盤ツールの刷新です。「業務基盤ツールを刷新するに当たり、社内向けシステムにはkintoneを採用することにしました」と語ってくれたのは、株式会社アドウェイズビジネスデベロップメントグループプロダクトディビジョンでゼネラルマネージャを務める宮折宏和氏です。2018年6月、社内の基盤システムとなったkintoneは、約300名の営業職員を含め、400アカウントを数える大規模システムとして社内に広まりました。
膨大なユーザーに対して、開発に専念するエンジニアはわずかに4人。サービスデペロップメントグループ マーケティングテクノロジーディビジョンユニットマネージャの飯野朋子氏もそのひとりです。飯野氏は開発環境について、「テスト環境と本番環境を分けていましたが、アプリの移行は人手で行っていました」と、振り返ります。ユーザー数が多いため、本番環境を直接改変することのリスクは甚大です。かといって、開発環境から本番環境への移行を人手に頼っていてはミスの心配もあります。飯野氏は、開発環境と本番環境とを効率的に、かつ安全に扱える自動化プラットフォームを探していました。
一方、ビジネスデベロップメントグループプロダクトディビジョン レポートツールユニットの山本駿太氏はアプリのカスタマイズに頭を悩ませていました。「kintoneアプリはJavaScriptでカスタマイズできるのですが、コーディングに時間がかかっていました。しかも、カスタマイズが複雑化すればするほどJavaScriptのコードが長くなり、アプリの読み込みにも時間がかかるようになります」と、山本氏はカスタマイズにつきまとう悩みを打ち明けました。
【選定のポイント】アプリ開発の安全性向上やカスタマイズの効率化を求めてたどりついたgusukuシリーズ
開発環境から本番環境へのステージングを自動化するためのツールを探して飯野氏がたどり着いたのが、アールスリーインスティテュート(以下、アールスリー)が提供する「gusuku Deploit(グスク デプロイット)」でした。開発環境から本番環境へのステージングや、アプリのバックアップなど多彩な機能を備え、kintoneアプリ開発を総合的に支援するプラットフォームです。「開発環境でテストを終えたアプリを本番環境に安全にリリースできるようになり、安心して開発に取り組めるようになりました」と、飯野氏は言います。
かたや、カスタマイズの効率化とスピードアップを図る山本氏が見つけたのも、アールスリーのサービスでした。GUIでスピーディにkintoneアプリをカスタマイズできる「gusuku Customine(グスク カスタマイン)」です。はからずも、両者は最良の手段を模索してgusukuシリーズのサービスを見つけたのでした。「kintoneアプリのカスタマイズで多い入力制限は、gusuku Customineを使えば数十秒でできてしまいます。人手でJavaScriptのコードを書いていた当時とは比較にならないほど、カスタマイズのスピードが上がりました」と、山本氏。
その後社内で情報共有が行われ、どちらの部署でもgusuku Deploit、gusuku Customineの双方が導入されました。今では重要なアプリはすべてgusuku Deploitを使って開発環境で開発され、122ものアプリがgusuku Customineでカスタマイズされています。
【運用と効果】122ものアプリをgusuku Customineでカスタマイズ、サポートも充実しており「月額10万円は高くない」
アドウェイズ社内で開発されるkintoneアプリが膨大な数にのぼることから、契約はもちろんエンタープライズプランをお選びいただいています。gusuku Customineの利用料だけでも年額120万円となっていますが、「得られる効果を考えると、毎月10万円の負担で済んでいるのは安いと感じています」と、宮折氏は言い切ります。
導入前には、アプリカスタマイズに何日も社員の時間を取られていました。その時間が大幅に短縮され、社員は新しいアプリの開発など業務改善に時間を割けるようになりました。エンジニアを増員して同様の効果を得ようと思ったら、そのコストは毎月10万円どころではありません。122ものアプリに適用していることから、1アプリあたりのコストも低く抑えられています。年額1000プランで利用できるアプリカスタマイズの上限は1000。これからさらに活用の幅が広がれば、1アプリあたりの単価は下がり、よりコスト効果は増すことでしょう。
安くても使いにくければ意味がありません。その点について開発の現場にいる山本氏は、gusuku両製品の使いやすさとともに、アールスリーのサポート体制を高く評価してくれました。「gusuku Customineはできることが多いうえに、機能向上も早いサービスです。使い方に悩むこともありますが、チャットで気軽に相談できて回答も早いので、課題解決までに時間がかからず助かっています」と、チャットサポートの効果を語ってくれました。クラウドサービスでありアップデートも早いので、機能面での要望にも短期に対応してもらえることが多いと、サービス自体の進化についても満足していただいているご様子でした。
【今後の展望】業務フローに関わるアプリは新規、再開発含めてkintoneとgusukuシリーズに置き換えを進める
同社の業務基盤に欠かすことのできないサービスとなった、kintoneとgusukuシリーズ。「開発者が異動しておりメンテナンスが難しくなっているアプリもあります。これらもkintoneとgusuku Customineに置き換えて行きたいですね」と、山本氏は言います。gusuku Customineなら開発画面を見るだけでアプリの動作がわかるので、引き継ぎを経てブラックボックス化することも避けられます。既存アプリだけではなく、業務フローを扱うアプリは、今後基本的にkintoneに統一していこうとしているそうです。「開発や新サービスのためにサーバやアカウントを払い出してもらう申請など、インフラ部署向けの手続きなどもkintoneでオンライン化できたらいいなと考えています」と、具体的な例も挙げてくれました。もちろんそこでもgusuku Deploitとgusuku Customineが使われていくことでしょう。
また、gusuku Customineの導入により、kintoneアプリ開発の手法にも変化が現れていると、宮折氏は話してくれました。「エンドユーザーにアプリの仕様決めまで関わってもらおうと思っています。現場の人が欲しい画面をkintoneで作ってもらい、そこにgusuku Customineで機能を組み込んで行くという方法を考えています」と、宮折氏は新たなトライについて説明してくれました。アプリへの要望を一番よくわかっているのは、エンドユーザーとなる現場の担当者たち。必要な要素をドラッグ&ドロップで配置するだけでアプリ画面を作れるkintoneの強みを活かして、現場の人に自分たちが使いやすい画面デザインをつくってもらうという手法です。機能を組み込んだあとの手戻りが減り、開発の効率化が期待されています。
いまはまだkintoneやgusukuシリーズのサービスを使っていない部署にも広げていきたいと、声を合わせて語ってくれたアドウェイズの面々。それを支えるアールスリーにも、大きな期待が寄せられています。