公開日:2022-06-09
コロナになってからの二年間、本当に長くて短い二年間でした。
生活様式が一気に変わって、在宅勤務にもだいぶ慣れてきたが、やはりオンラインじゃできないこともたくさんありました。
その一つは、デザイナー同士の横のつながりでした。特に自分はIT会社のワンマンデザイナーであって、同じデザイナー仲間と会って話さないと最近何はやってるの?何に悩んでるの?面白いものがあるのか?とかいろいろ聞けないので、本当にずっと一人で考え込んちゃって発散できなくて寂しかった。
ちょうど4月に、東京で勤めた会社で一カ月だけ同僚になったがすごく気の合うデザイナー仲間、りささんから「5月にデザイナーの国際会議が開催されますよ!主催が共通の友たち三瓶さん(UXMilkでお世話になった方)なんで行きませんか?」と、ビッグニュースが投下された。これはこれは、コロナで無くして二年間、たまっていた鬱憤(?)を吐き出すいい機会じゃないかなと思いながら秒で返事しました。
そして、国際会議なので海外からの参加者がどうなるのかなとドキドキしながら、5月14、15日開催のDesignMattersTokyo202に行って参りました。
会場は六本木一丁目にあるDMM社さんのオフィスで、ビルの入り口にゲストカードをもらって、オフィスの受付で抗体検査キットをもらって15分待機したら、結果が陰性だったので無事に会場に入れるようになりました。
会場まで行くルートがかなり作り込んでいるジャングル風で、ああこんなオフィスも良いな〜と思いながら、カンファレンス会場にやっとたどり着いた。(弊社にプレッシャーをかけるわけではありません…)
DMMの新オフィスについてこんな記事がありました→ https://toyokeizai.net/articles/-/162887
すでにいろんな方が入ってて、英語と日本語を混じった雑談を横から聞くと、あ〜懐かしいね…こんなのがいつぶりなんだろう…と感傷にまでなってしまいそうでした。
会期の二日間は朝から夕方までレクチャースペースでゲストスピーカーの講演を聞くのと、同時に二回ワークショップも開催されるので、ワークショップと講演がかぶったらどちらを諦めることになってしまいます。講演ももちろん面白いけどもうちょっとインタラクティブな交流がしたくて二日間すべてのワークショップに参加することを決めました。
印象に残った講演テーマ
印象に残った講演は、Twitter社の「Twitter fuck-ups where innovation is born」でした。
去年はやての如く現れて消えた「フリート」、覚えていますか?私はよく絵文字でクソコラをしてて楽しく遊んでたのになぜ消えてしまったのかと、まさか「fuck-ups」の一つとしてカウントされることになったとは…
でもTwitter社はちゃんと、「フリートを使う人がどんどんログインしなくなりました」、という事実がユーザーデータとして残されたので、そのインサイトはかなり興味津々でもっと知りたかったですね…
また、暴言リプのときにワンクッションリマインダーを置くなどいろんなチャレンジをされているTwitter社さん、膨大な情報と情緒を扱うプラットフォームなので、本当にユーザーの行動をいちいち分析予測しないと良いサービスにはなれないと思いますね…(最近はタイムラインの表示で色々言われていますが、もしかしたら面白いユーザーテストもされているのかなとわくわくしてきた)
他にもLEGOの大人向け製品ラインアップのデザインの話も面白かった。子供と違って大人におもちゃを買わせる工夫をデザインでいろいろ解決するのは今までにないアプローチで、例えば黒背景、ピンボケ写真、ライフスタイルに溶け込むような構図などで工夫するアイディアも、触れたことのない領域なのでとても新鮮で勉強になりました。
あとは二日目最後の「Accessibility in typography」は、本当にデザイナーとして永久の課題でもあるフォントや文字情報の話。人体の生理構造から視覚障害者の特性から文字情報をどうやって作っていくプロセスが本当に大事で大変勉強になりました。
もはや共通テーマとなっている「リモートワーク」「ウェルビーイング」「バーンアウト」
今回の講演テーマの中に圧倒的にリモートワークに対するソリューションの話が多い。デザイナーにとっては一番身近な課題だしちゃんと考えて解決策を考えるのも責任だと思いますね。
私も個人的にWFHになれなくて、いきなり働きすぎだったりコントロールできなかったり、二年前から燃え尽き症候群を繰り返していましたので、他社のソリューションを参考にしたり、デザイナーとして解決策を考えたりもしていました。
Nesto社さんから、健康と生産性を削っていくリモートワークをウェルビーイングに寄り添うためにたくさんの在宅ソリューションを提供されたり;Shopify社さんは、たくさんの国で展開しながらいろんなカルチャーの社員が存在する中に、お互いのリスペクトと理解し合うを促すような社風づくりを推進されたり;Google社さんは、リモートワークをしながらも生産性を高めるためにスケジュール管理、空間づくりからマインドセットづくりまでたくさんチャレンジされていました。
やっぱワークショップは楽しい
二日間の会期中に、4つのワークショップを全部コンプしたので達成感がすごかった〜
個人的にやってよかったワークショップは、usTwo Tokyoさんの「プロダクトにおける発見—失敗への戦略的な学習アプローチ」でした。なぜかというとワークショップのプロセスが面白くて、最初からあえて参加者に違うアプローチを無理やりミスリードさせ、参加者が「こんなのできるわけないじゃん〜」と愚痴を言いながら違う考え方で進もうとすると、じゃあもうちょっとアプローチを変えてみようとファシリテーターに言われて、まさに自分たちと同じような考えを促すような進み方でした。実際の仕事によくある「この機能を入れたい、あのスペックがほしい…」みたいなアプローチと「ユーザーが何に悩んでいて、何を提供できるのか?」のアプローチの戦いをうまくシミュレーションしてくれました。
また、デザインワークをチームに共有するためのドキュメンテーションについての議論や、FigmaでNFTジェネレーティブアートを作るワークショップや、「Probable」「Plausible」「Possible」の軸で未来のデザインを考えながらストーリーテリングのスキルを教えてくれるワークショップにも参加し、有意義な二日間を過ごせました。
WSで一緒に私の雑談や愚痴を付き合っていただいた皆さん本当にありがとうございます!
やはりいい感じの刺激が必要なのじゃ〜
ここ数年間ずっと自社製品のデザインとマーケティングだけを考えるとやはり脳が惰性になってしまって、このようなオフラインイベントのおかげで他業種の方と知り合って雑談しながら最近の仕事と愚痴を話すと、自分の中にも整理がつき、次に踏むステップはどうするのか、プロダクトをどの方向に持っていけば良いのかについてはいろいろクリアになりつつありました。
また面白いことに、このイベントで得た情報を反すうしたらなぜか知恵熱が出ちゃって3日間寝込みました。どんだけ人間との会話を欠けているのか(笑)
今はもう元気になりましたので大丈夫です!いえあ!\(^o^)/
このブログを書くにあたって、いろいろ考えたこと
Facebookでも書きましたが、2つ、デザイナーだけじゃなく働き方に対してもう少し頑張りたいなと思うところがありました。
一つは、登壇者のスピーチから感じたデザインを考えるプロセスです。
今まで日本で受けてきたデザイン教育では、アイディア、コンセプトと技術ベースで作品を表現することが多いが、欧米のデザイナーたちは、社会とカルチャーと思考プロセスベースで話すことが多いと感じていました。もちろんデザインにおいてはどれも重要で、どのスキルもほしくて欲張りしちゃいますね。これからの仕事では意識的にプロセスを考えるようにしようと、次の目標ができました。
もう一つは、バーンアウトに対する意識です。
このイベントでリモートワーク関係のテーマが多くて、初めて「バーンアウト(燃え尽き症候群)」という単語を聞きました。これについて調べてみたら、スウェーデンをはじめ、バーンアウトを労働法に取り組むような国が近年から増えていくことを知りました。
私は数年前の病気で、思った以上燃え尽きしやすい体質になってしまいました。ここ数年は、意識的にWLB(ウェルビーイング)重視の働き方をしていて、できればバーンアウトしないようにコントロールをしていますが、去年は長い間休職まで追い込まれ、なかなか調整できない現状でした。
一人ひとりが働きやすい環境づくりとマインドセットって難しいよね。もし自分の経験を生かして何かしらのソリューションを思いついたらサービス化できたらいいなと、ざっくりですがもうちょっと遠い目標もできました。
最後に
最後に、このイベントを主催してくれる三瓶さん、教えていただいたりささん、貴重なスピーチとワークショップを提供してくれた方々、会場で出会ったデザイナーさんたちに感謝の気持ちを込めて、このブログ記事もそろそろ終わらせないといけなくなりました。記事は終わったけどまだまだデザイナー人生が続くし、またどこかでお会いしましょう〜!
投稿者プロフィール
- UX Designer / Hackathon idol / Amateur manga&Doujin Otaku/
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