懺悔と言い訳と有言実行

公開日:2024-12-26

はじめに

この記事は Customine Advent Calendar 2024 の1日目のボツ記事です。あまり面白くないと思ってボツにしたのですが、せっかくなので延長戦ということで公開したいと思います。

懺悔

先日、 gusuku Customine お手軽体験というサイトを公開しました。

既に触っていただいた方もいらっしゃるかと思いますが、このサイトではカスタマイズされたアプリが100種類用意されています。実際の kintone 画面でカスタマインで解決・実現できることを体験いただけるものです。

公開後、SNS やお会いした方からも喜びの声を多くいただくことができ、制作者としては嬉しい限りです。しかし、このサイトは「こういうものを作ります!」と言ってから3年半もかかっていたんです。
※隠しておこうと思いましたが、金春に暴露されたので書いちゃいます。

、、、ということで、皆さん大変お待たせして申し訳ありませんでした。

言い訳

では、3年半もお待たせしてしまったことの言い訳をさせていただきます。

利用規約の問題

この計画をしたときに最初に問題になったのは kintone の利用規約に関することです。

触っていただいた方はおわかりかと思いますが、このサイトは同一の kintone アカウントを共有して使用することを想定しています。しかし、kintone の利用規約上「アカウントの共有」は禁止されています。とはいえ、利用規約に則ってこのサイトを運用しようと思うとお試しをしたい人ごとにアカウントを発行する必要があり、現実的ではありません。

そこで、サイボウズさんに相談をしたところ、今回のお手軽体験サイトのような目的での利用を許諾するためのルールを整備してくださいました。これがサイト作成に向けた第一段階です。

こう書くとサイボウズさんのルール整備に時間がかかったように見えてしまいますがそんなことはありません。サイボウズさんは迅速に対応してくださったので、3年半もお待たせした理由の大半は築山の怠慢ですw

やりたいことがありすぎた

ということで、2つ目の言い訳です。

お手軽体験サイトの制作を思い立ったのは2021年のはじめ頃なのですが、この頃はやってみたいことがたくさんありました。

その中の1つが「カスタマインの歩き方」です。

「カスタマインの歩き方」はカスタマインを体系的に理解・学習していただくためのコンテンツです。

これを作ろうと最初に思ったのは Cybozu Days 2020 のことです。この年の kintone AWARD に登壇された清水さんや同年の kintone hive に登壇された小竹さんとお話した際に「もっとカスタマインを勉強して使いこなしたい」という話題になりました。

カスタマインはできることが多く、また日々アップデートによって新しい機能が追加されています。サポートサイトで「xx の設定方法」といった手順を案内する記事は多数掲載しているものの「なぜ、その設定をする必要があるのか?」「複数ある『やること』でどれを使うのが最適なのか?」を案内することがなかなかできていませんでした。

kintone のユーザーさんは勉強熱心な方が多く、カスタマインのユーザーさんも例外ではありません。ご紹介したお二人以外からも似たような意見をいただいたため、「ユーザーさんが自習できるためのコンテンツを作ろう!」ということで社内の有志メンバーで作り始めたのが「カスタマインの歩き方」です。

毎年少しずつ増やして、いまでは 8種類

「カスタマインの歩き方」は既に利用している人を主に想定したものですが、「カスタマインで何ができるか知りたい」「自分の課題がカスタマインで解決できるか知りたい」など、導入を検討する方向けのコンテンツも必要でした。

そこで作ったものの一つが「できることカタログ」で、冊子・Web・動画で公開しています。まずはカスタマインで解決できることを「機能ごと」に掲載するものを作成しました。続いて、実務での利用イメージを掴んでいただくために「ユースケースごと」に案内するものも作成しました。

このあたりはどのような伝え方が良いか?といつも悩むことなのですが、「機能軸」で探す方もいれば「業務・ユースケース軸」で探す方もいます。また、動画が一番理解しやすいと考える方もいれば、文字で読む方がわかりやすい方もいます。そのため、可能な限り様々な軸、様々な媒体で情報を発信することを心がけています。

お手軽体験サイトを早く公開したかった気持ちはやまやまだったのですが、後述するようにお手軽体験サイトは検討・準備しなければいけないことがたくさんありました。そのため、比較的短期間で制作できる「カスタマインの歩き方」や「できることカタログ」を先に制作していた、というのが2つ目の言い訳でした。

考えなければいけないことが多かった

残る言い訳は単純に「お手軽体験サイトを作るのは大変だった」です。

といっても、アプリやカスタマイズを作ること自体はそれほど難しくありません。1個1個のカスタマイズはシンプルなので、1つのアプリ+カスタマイズの作成時間は時間がかかるものでも1~2時間ぐらいでできてしまいます。

制作において時間がかかったのは、アプリ作成やカスタマイズ作成以外の部分でした。

不正利用やセキュリティ事故への対策

中でも一番気を遣ったのが「不正利用の防止」です。

ここでいう「不正利用」とは悪意を持った利用者がこのサイトを使用することで、他の利用者さんに対してフィッシング詐欺を行ったりウィルスに感染するサイトに誘導したり、といったことを指しています。

また、悪意のない利用者の方でも、誤って機密情報の含まれるファイルをアップロードしてしまう、なども可能な限り防がなければいけません。

そのため、ご利用いただく前に注意点をご確認いただくための「利用規約」を設けるだけでなく、誤ってデータを登録することを可能な限り防ぐための対策を行いました。

アクセス権設定

その対策の1つがアクセス権設定です。100個のアプリにはものすごく細かくアクセス権の設定をしています。

不正利用や事故防止の観点だけで考えるとガチガチにアクセス権を絞ればよいのですが、実際にはそうは行きません。「お手軽体験」はカスタマインで何ができるか?を体験していただくのが目的なので、カスタマイズによっては「レコード追加」や「レコード更新」「コメント投稿」などができないとカスタマイズを体験できないためです。

そこで、1つ1つのアプリごとに「どんな権限を付与すれば不正利用や事故の可能性を減らしつつ、カスタマイズを体験していただけるか」を検討してアクセス権を付与しました。

例えば、「吹き出し表示」のカスタマイズでは「レコード閲覧」権限のみとしています。「吹き出し表示」は?マークの上にカーソルを重ねるだけで動作イメージを掴めるのでこれで十分と判断しました。

一方「入力時に自動カナ入力」などでは、レコード追加や編集を許可しました。また、「何を試したら良いか?」をわかりやすく伝えるために初期状態のレコードを用意しているアプリではそのレコードのみは削除禁止にしています。

定期的なデータ初期化

アクセス権で可能な限りレコード追加、更新を禁止しても、試すためにはどうしてもレコード追加を許可しなければいけないアプリもあります。そのため、レコード追加、更新を許可するアプリに関しては、Job Runner で定期的にデータを初期化することとしました。

サイトの性質上不正利用、利用者のミスは100%防ぐことは難しいですが、これらの対策により可能な限り不必要なデータ登録を防ぐこととしました。

このためのアクセス権検討・設定も大変でしたが、「意図しない操作を禁止するアクセス権となっているか?」「試していただきたい操作は問題なく可能か?」を確認するためのテストが大変だったポイントの一つです。

使い方の案内

様々な準備の中で一番「むずかしかった」と感じたことで、いま現在も最適な方法を模索しているのは使い方の案内です。

100個アプリを用意しても利用者の方が「そのカスタマイズはどうやって試せばいいのか?」「どんな操作をしたらその効果を実感できるのか」をすぐに理解できなければ全く意味がありません。

「タブ表示」や「テーブルも見える一覧」のように見た目が大きく変わるカスタマイズであれば説明は必要ないかもしれません。しかし、中には「ルックアップより複雑なレコード取得」や「QR コード読み取り」のようにいくつかの操作をすることで便利さを体感できるものもあります。

そのため、ラベルを使用して説明を入れたり、カスタマイズによって各アプリの一覧画面・詳細画面に説明を表示しました。また、カスタマイズを試すときに説明が邪魔になることもあると思ったので、ボタンを押したら非表示にできるように全てのアプリに共通で以下のようなカスタマイズを入れることにしました。

いまの案内方法が完璧だとは思っておらず、最適な案内方法は常に模索しています。

サイト公開後すぐにユーザーさんより「このアプリはこういう説明の方がわかりやすいと思います」と連絡をいただいたので、早速その意見は反映させていただきました。

こういったフィードバックをいただけるととても嬉しいです。

有言実行の2025年

さて、ダラダラと言い訳をしてきましたが、結局のところ3年半もかけてしまったのは自分自身の甘さです。
ちゃんと皆さんに監視していただけるよう、来年やることを宣言して終わりたいと思います。

来年必ずやること

  • お手軽体験サイトのカスタマイズ設定例
  • ユースケースごとのできること紹介動画
  • お手軽体験サイトに「在庫管理」「案件管理」など、ユースケース別に試せるアプリを掲載する

ユーザーの皆さんにお願いしたいこと

我々は「どうやったら複雑なカスタマインをわかりやすくお伝えできるか?」を常に考えて試行錯誤しています。

「これはよかった」「これはわかりづらい」「こうした方が良い!」という意見はとても参考になりますし、制作してるメンバーの励みになります。

是非、たくさんフィードバックをいただけますと幸いです。

投稿者プロフィール

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築山 春木
gusuku シリーズのエンドユーザー様への提案・パートナー様への支援をメインに活動しています