公開日:2023-08-23
kintone初体験のスタッフがコールセンター業務アプリを内製化!
BEST株式会社
取締役COO/CFO 五十嵐 博文 様
経営管理本部 市川 恵梨 様
経営管理本部 河合 瞭 様
BEST株式会社は、鍵・ガラス・水回り・害虫駆除トラブルに対する緊急駆けつけ業を営む会社です。今回「コールセンターの応対業務・フィールドサービスの作業報告・経理処理」を行うためのシステムを、サイボウズ社のkintone・ノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customine・アールスリーのアドバイザリーサービスの併用で内製化されました。「kintoneの利用は生まれて初めてだった」という市川様が中心となり、アプリの内製化に成功した経緯をうかがいました。
Salesforceの代替品としてkintoneを導入
Q:はじめにkintoneの導入理由について教えてください。
五十嵐様
コールセンターの応対と経理業務にSalesforceを利用していましたが、高機能すぎるなどいくつか不便な点がありました。また、現場の職人にもSalesforceを利用してもらい、タイムリーな案件情報の入力をさせたかったのですが、1accountあたりのコストが高いことから、コールセンターと経理等の内勤に限って利用していました。
案件情報は「コールセンター →現場の職人 →経理」の順で申し送りされます。料金の手頃なシステムを導入し、現場の職人さんにも使ってもらい、業務の効率化を達成するためkintoneへのリプレースを決めました。
河合様
Salesforceの開発はベンダーさんにも入ってもらっていましたが、改修するためのアドバイスをもらうにも都度お金がかかるので、やむなく自分でカスタマイズ方法を調べてシステムを作るなど大変でした。リプレースの際には複数のツールを比較検討しましたが、kintoneがダントツで良かったですね。直感的に使えそうなことが見て取れましたし、料金もSalesforceに対して1/10くらいの費用感でした。
アールスリーは業務フローを理解してくれたしCTI連携の知見もあった
Q:kintone開発パートナーに求める要件は何でしたか?
3つありました。Salesforceの動作をkintoneで再現すること、CTI(電話番号をキーにCRMと連携するソフト)とkintoneを連携すること、kintone開発の内製化をサポートいただけることです。
Q:アールスリーを開発パートナーに選んだ決め手は何でしたか?
アールスリーはパートナーに求める3つの要件にぴったりでした。1つ目のSalesforceで実施していたことの再現は、gusuku Customineを使えば可能とのことでした。2つ目のCTI連携は開発のネックになると思っていたのですが、アールスリーにはCTI連携のご経験があり開発可能と即答いただけました。
3つ目のkintoneの内製化について。アールスリーからの提案は、相談をしながらアプリを作れるアドバイザリーサービス、gusuku Customine、kintone開発を学べるクラウドユニバーシティを併用し、スタッフを教育しながらシステムを開発するというものでした。
私たちには「自社でシステムの開発をしていきたい」という気持ちがずっとあります。gusuku Customineを使うことで、プログラミング経験のないスタッフがアルゴリズム(システム設計・画面の動きなど)の勉強が一からできる点がとても魅力的でした。アールスリーに相談しながらkintoneの開発を行うことで、社内に業務設計とシステム開発のナレッジがたまっていき、スタッフの教育になると確信しました。
利用者目線のアプリをgusuku Customineを駆使して構築
Q:開発したアプリについて教えてください。
市川様
1つの案件は「コールセンター →現場の職人 →経理」の順に流れます。コールセンタースタッフがお申込内容を電話アプリにセットして、現場の職人用のアプリに申し送りします。職人が現場で施工後に売上をアプリに入力すると、経理専用アプリに内容が送られます。これまでは「Salesforce・メール・Excel・電話の併用」で一連の業務を行っており業務フローが複雑でしたが、今はkintone1つでできるようになりました。2023年5月現在132人がkintoneを利用しています。オペレーターさん・職人さん・経理のみんなから「使いやすくなった」「凄く良い!」と言っていただいています。
【アプリ使用の流れと、gusuku Customineで実装した機能】
①問合せアプリ(コールセンター受付)で初動対応
CTIとの連携により、電話がかかってきた瞬間に、管理番号をキーにkintoneアプリにレコードが新規作成される。
複数の回線を運用しているので、入電番号が重複している場合は初動で確認できて便利。
回線名を選択した後「案件内容に移動するボタン」で案件の詳細入力画面に遷移する。
案件情報をヒヤリングし、案件内容アプリの各ドロップダウン選択でお客様情報や発注内容を入力する。全角表示・半角表示など、表記ゆれを防ぐための機能も実装されている。入力後に「作業員へ通知するボタン」を押すと、自動で作業員アプリに情報が連携される。
②職人が「作業員アプリ」で、施工結果と売上を入力
割り当てされた作業員アプリに通知が飛ぶ。職人は作業員アプリで案件概要を把握してサービスに向かう。業務終了後は施行内容をアプリに登録し「経理へ完了報告を通知する」ボタンを押して経理アプリへ移行し、保存を押すと経理アプリに完了報告のレコードが追加され、業務が終了する。
職人は自社作業員以外に外部委託業者もいるため、他案件の情報を閲覧できないように権限設定を行うことで、複数の外部職人とkintoneで取引ができるようになった。閲覧制限をかける設定は難易度が高かったが、市川様が努力の末に実装した。
他にも、お客様の連絡先の電話番号をタップするだけで電話発信できる機能や、地図リンクをクリックすると地図アプリに飛べる機能は職人に好評。また職人への連絡もコメント欄で可能になり電話応対の負荷も激減した。
③「経理用のアプリ」で完了報告と売上を処理
職人が完了報告を行うと、経理に作業の完了報告が届く。経理は売上関連の処理を行う。これで1案件の全ての処理が終了する。
経理周りの業務は以前よりもかなり効率化された。職人がメールで経理に売上報告をする必要があったが不要になった。経理ではSalesforceとメールを照らし合わせる作業が不要になった。報告内容も、自由に書けるメールと違いkintoneでは必須項目を埋めていく形になるため報告内容のムラもなくなった。
開発専任者にkintone初体験のコールセンタースタッフを抜擢
Q:今回のkintoneアプリ開発では市川様が大活躍されましたが、どのような経緯でkintoneアプリ開発の専任者になられたのですか?
市川様
私はコールセンタースタッフとして電話応対・クレーム対応・スタッフの教育などを担当していましたが、2022年10月に突如Salesforceからkintoneへ変更するので、アールスリーと二人三脚でkintoneアプリを開発するよう指示を受けました。開発の専任者として挑戦してほしいということでした。電話から離れてkintoneのカスタマイズを勉強しては試すことの繰り返しの日々が始まりました。
Q:市川様はどのようにkintoneを学ばれたのですか?
kintoneとgusuku Customineを使って開発するということで始まったのですが、最初は何もわからなくて。kintoneの基本機能でできること、gusuku Customineでできることの区別もつかない状態の中、目的の動きになるように条件を色々作りながら学んでいきました。クラウドユニバーシティも受講しました。
1アプリの予定が3アプリ必要になったけど、締切は据え置き
Q:2ヶ月半の開発期間の動きを教えてください。
市川様
自分で開発しながら、自身で解決できない点をアールスリーに「課題管理アプリ」と週1回の定例ミーティングで質問しながら進めました。最初はコールセンターアプリだけの予定で始まりましたが、途中で職人・経理向けのアプリも必要になり、自分を追い込みながら3つのアプリを完成させました。
五十嵐様
最初はRDB(リレーショナルデータベース)を想像してkintoneアプリを作ろうとしていました。kintoneはRDBコンセプトのシステムではないことを把握せずに作り始めたのは反省点でした。
アールスリー大澤&井上
最初はコールセンターアプリだけの様子でしたが、途中で職人・経理などの利用の構想が出てきました。この時点でアプリを分けた方が良いことをお伝えしました。この時、RDBを想像してkintoneアプリを作ろうとされていましたが、kintoneは画面とデータベースがセットで存在するため、各アプリのデータはつながっていないこと。繋ぐ場合はコピーが必要なことをお伝えしました。kintoneをRDBと捉えて躓くのはkintoneあるあるです。
やりたいことはgusuku Customineがあれば何でもできる!
Q:拝見したアプリから「ユーザーの利便性を良くしたい」という気持ちが伝わってきました。その情熱はどこからやってきたのですか?
市川様
1つめは締切です。与えられた開発期間は2カ月半で、以後Salesforceを解約すると言われてしまって。解約するとうちの業務が全部ストップしてしまいます。全従業員と職人さんに影響が出るので、実践を繰り返して開発をしていました!
2つめは、やりたいことができる嬉しさです。Salesforceは使いやすくしたくても手が出せませんでした。ところがkintoneとgusuku Customineを組み合わせると、JavaScriptを書かなくてもやりたいことがほとんど実現できることが分かりました!私はコールセンターを担当していたこともあり、やりたいことが盛りだくさんだったので、できると分かってからは様々な追加機能を考え開発できました。この過程で、gusuku Customineへの理解が深まりシンプルな書き方もできるようになりました。
3つめは職場の皆の存在です。職場の皆が凄く協力的で、便利にしたい点について意見をたくさんくれました。住所の重複案件の処理などミスが起こりやすいケースってあるじゃないですか。kintoneで使いやすい画面を作れば、ミスが減らせるし、皆の成績にも貢献できます。そんな気持ちから2カ月半、頑張ることができました。重複電話チェックや同時編集ロックなどのおかげで、以前と比べて便利になったことはとても多いです。
Q:素晴らしいですね!どの時点でgusuku Customineなら何でもできる!と感じたのですか?
サポートサイトで単語を入れると大体やり方が出てきました。それだけでは対応できない場合は、応用して考えていくとできることが多かったです。kintoneとgusuku Customineでの開発は電話応対と違い、何の感情にも左右されない「できる・できない」の二択の世界で、できない場合はできるまで考えれば良い。できたら嬉しいし、できなかったらアールスリーの井上さんや大澤さんに聞く。これを繰り返していたら楽しくなってきて、いつの間にか何でもできると思えるようになりました。
アールスリーは神様。いなかったらアプリは完成しなかった
Q:今回の開発でアールスリーはどんな存在でしたか?
市川様
神様でしたね!本当に。アールスリーのお2人がいなかったらアプリはできていなかったと思います。でも、アールスリーのお2人は直接答えを教えてくれないことがありました。質問するとサポートサイトのURLだけが飛んでくるのです。あれはなぜですか?
アールスリー大澤&井上
サポートで答えをすぐ教えてしまうと、その人はまた同じことで躓きます。我々の目的はお客様に自立をしてもらうことなので、根幹となる考え方やスキルの部分はどうしても理解してもらいたい。そのためにあえて参考資料をお送りし、考えていただくことがあります。
今回は市川様に「想い」がありました。想いを実現するには?と調べて開発をされたので、ユーザーさんにとって本当に使いやすいシステムができました。現場が思う使いやすさとベンダーが想像力を働かせて考えた使いやすさはレベルが違います。ベンダーに頼んでも、なかなか今回のような秀逸なシステムにはならないものです。内製化の強みが発揮された良い開発だったと思います。
「使ってもらえるシステム」を作ることができた
Q:アプリの導入効果を教えてください。
五十嵐様
1つめは、経理業務の効率化です。Salesforce時代は、経理と職人の間の連絡はメールと電話だったので、経理はメール報告を見てSalesforceに入力し、さらに後日届く伝票と突き合わせをしていました。これがとても無駄な作業でしたが、今はかなり削減されました。この作業は月に数千件ほどあり、1回2〜3分で処理していたので少なくとも80時間程度は短縮されました。
2つめは、システム開発で一番大事な「使ってもらえるシステム」ができたことです。今回のプロジェクトの最大の収穫です。市川さんを開発専任者に抜擢したのは、スタッフに協力してもらえるような働きかけができる人であり、ガッツもあるからでした。市川さんは周囲の人たちに協力してもらえるようなヒヤリングや働きかけをして「市川さんが言うんだったら協力しよう!」という空気ができました。抜群の仕事をしてくれましたね!
やりたいことを実現してくれるパートナー
Q:今後の展望を教えてください。
五十嵐様
20周年の機会に、新規事業を立ち上げます。新事業立ち上げを見据え、gusuku Customineの活用を通じて社内のDX人材を育てたいですね。
Q:最後に、gusuku Customineやアールスリーのアドバイザリーサービスをご検討中の方にメッセージをお願いします。
市川様
アールスリーの皆さんは、相談しやすく、レスポンスも早く、アドバイスも的確です。やりたいことを本当に実現していただけるので、私は一緒にお仕事ができて良かったです。もしkintoneの基本機能で「ちょっと無理」な状況にあるならアールスリーのサポートをおすすめします。
貴重なお話しをありがとうございました。
取材2023年5月