「kintoneが動かない」って言われたときにチェックする項目 その1 – ネットワーク編

公開日:2025-04-24

注意

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はじめに

こんにちは。JavaScriptの話ばっかり書いてたよなしろです。本来の得意分野は実はネットワーク系です。

今回の記事からは ”「kintoneが動かない」って言われたときにチェックする項目” というシリーズで連載を書いていこうと思っています。

ようはトラブルシューティングのお話です。

現在のところ3部作の予定で

  1. ネットワーク編
  2. kintoneの設定編
  3. kintoneのカスタマイズ・プラグイン・連携サービス編

を予定しています(変わるかもしれませんがその時はご容赦ください)

それでは第1部「ネットワーク・PC編」スタートです!

「kintoneが動かない」をネットワークの観点から見る

「kintoneが開かない」「急につながらなくなった」といった声、情シスやサポート担当をしているとよく耳にする方もいるかもしれません。

一口に「kintoneが動かない」といっても、kintoneにアクセスするまでにはさまざまなプロセスを経ることが必要なため、どこがおかしいから「kintoneが動かない」のか、ちゃんと確認しないと全然検討違いな解決策をとってしまう可能性があります。

本記事では、いくつかあるチェックポイントのうち、PCやネットワークの観点から、kintoneにアクセスできない時にチェックしたいポイントを紹介します。


PCからkintoneへはどうやってつながっている?

見落としがちですが、PCからkintoneにアクセスするには、いくつかの機器や仕組みを経由しています。 ざっくり以下のような流れです。

PC → 無線LANアクセスポイントやスイッチングハブ → ルーター → 契約しているインターネット回線(ISP) → kintoneのサーバー

このどこかに問題があると、kintoneにつながらなくなる、あるいは「なんか遅い」という状態になります。 ここからは、つながらない原因になりやすいポイントを順番に見ていきましょう。


ケース1:PCと無線LANアクセスポイントの間で起きる問題

無線LANの電波が弱い・つながりにくい

自宅やオフィスでよくあるのが、「Wi-Fiの電波は入ってるのに遅い、開かない」という状況です。 無線LANのアクセスポイントからPCまでの距離が遠かったり、間に壁や扉があると、電波が弱くなり不安定になります。特に、フロアが違ったりするとほとんど届かないこともあります。

このようなときは、まずアクセスポイントにできるだけ近づいてみてください。近づいたら改善する場合、距離や遮蔽物が原因です。

フロアが異なるなど物理的に距離がある場合は、次のような対策があります:

  • 中継器(Wi-Fi中継機)を使って電波を延長する:設置も比較的簡単で、手軽に改善できる方法です。
  • 可能な限りLANケーブルを長めに引き回して、アクセスポイントとPCを物理的に近づける:床や壁に沿わせてケーブルを取り回すことで、安定した通信が確保できることがあります。
  • フロア間にLANケーブルを通す工事を行う:予算と許可の問題はありますが、確実で安定性の高い方法です。
  • メッシュWi-Fiの導入を検討する:広い範囲や複数フロアで利用する場合、複数のアクセスポイントが連携するメッシュWi-Fiも有効です。

また、もし可能であれば、一時的にLANケーブルでつないでみて、安定するか確認してみるのも手です。

全然参考になるかわかりませんが、僕の実家は光ファイバーケーブルが2階に引き込まれており、無線LANルーターも2階にあるため、1階(リビング)ではまったく使い物にならないということに困っておりました。

電波の出力強めのルーターにしてみてもうまく動かず悩んでたのですが、MoCAアダプターという、建物内のテレビのアンテナの接続に使う配線を使用して有線LANを構築するアダプターを導入しました。

2階のテレビのアンテナ線を接続するところにMoCAアダプターを接続し、1階にもテレビのアンテナ線のコネクターのところにMoCAアダプターを接続し、そこから無線LANルーターを接続することで、1階でも安定して無線LANが使用できるようにしました。
戸建じゃないと難しいのですが、もし、困っている方がいらっしゃいましたら「MoCA 同軸」で検索してみると記事が出てくるので参考にしてみてください。

古い規格や混信の影響で速度が出ない

Wi-Fiには「2.4GHz」と「5GHz」という2種類の電波帯が使用されますが、特に2.4GHz帯は電子レンジや他の機器と干渉しやすく、速度が出ないことがあります。
また、無線の規格が「802.11b」など古いものに自動的に接続されている場合、非常に低速になることもあります。

電子レンジは冗談抜きに無線LANの大敵です。

今の家に引っ越す前の自宅は、無線LANルーターとリビングの間に電子レンジが置いてあったため、電子レンジで何かを温めると、2.4GHz帯の接続を行なっていたAmazon FireTVでYouTubeを見ていたらまったく見れなくなった。っていう経験を何度もしています。

接続先を変えられる場合は、5GHzのSSIDに接続してみてください。それが難しければ、ネットワーク担当者(自宅であればネットワークに強い人がいたら)に「Wi-Fiが遅くて困ってる」と相談してみると、設定の見直しなどをしてくれるかもしれません。

5GHz帯にしたら解決…というわけにもいかず…

「5GHz」帯は家電等の電波干渉には強く、通信速度も速いことが多いので、5GHz帯にすれば問題解決するかと言われると、障害物に弱い欠点があります。
通信機器とアクセスポイントの間に扉や壁があると通信ができないケースというのもよくあります。(階を跨ぐとかそういうのにも弱い)

あと、古いPCや、(今回の趣旨とは外れますが)IoT機器だと5GHz帯に対応していない機器というのがあったりするので、なんでも5GHz帯でOKというわけにはいかない現実もあります。

自宅の無線LAN環境の構築は設置場所や使用する機材、家の大きさやレイアウトなどでいろいろ検討しないといけないことが多く奥が深いので、(この記事が公開されるタイミングに近い)ゴールデンウィークにいろいろ学習してみても楽しいかもしれません。


ケース2:ルーター~インターネット~kintoneサーバー間の問題

自宅や建物の回線が遅い

在宅勤務の場合、自宅のインターネット回線の速度がボトルネックになることがあります。特に、マンション全体で共用しているネットワークを使っていると、夜などの混雑時間帯には極端に遅くなることもあります。

また、いわゆるモバイルWiFiとよばれるサービスや、格安SIM等を使用してテザリングを行なっている場合にも混雑時間帯によっては通信量が制限されることもあります。

このようなときは、kintone以外のサイト(Yahoo!やGoogleなど)も遅く感じるかどうかをチェックしてみてください。 もし他のサイトも遅ければ、自宅の回線が原因である可能性が高いです。スマートフォンのテザリングを使ってkintoneを開いてみて、そちらでスムーズにつながるようであれば、インターネット回線そのものに問題があると判断できます。

機器やケーブルの性能が足を引っ張っている

インターネット回線契約は高速なのに、なぜか遅いという場合、意外と見落としがちなのがルーターやLANケーブルの性能です。古いルーターや、古いLANケーブルを使っていると、ルーターやLANケーブルの性能がボトルネックとなって通信速度が制限されてしまうことがあります。

「ギガビット対応」と書かれているルーターやケーブルに変えると、劇的に改善されるケースもあります。不安な場合は、詳しい人や業者さんに機器を見てもらうとよいでしょう。


ケース3:VPN・アクセス制限を行なう仕組みが関係している場合

VPNを通すと遅くなることがある

リモートワークでVPNを使っている場合、通信が遅くなるのはある程度避けられません。
VPNは暗号化処理をするため、どうしても通常より負荷がかかるからです。

ただ、あまりにも遅い、または使いものにならない場合は、VPNサービスの性能や設定の問題かもしれません。 この場合は、自分だけが遅いのか、同じVPNを使っている同僚も遅いのかを確認してみてください。
もしみんな同じように遅いなら、VPNサービスや設定を担当している方に相談してみるのが良いです。

VPNをつなぐとインターネットが全部使えなくなる

VPNをつないだとたん、kintoneどころか他のサイトも全く開けなくなることがあります。 これは、VPNで割り当てられるIPアドレスと、自宅やコワーキングスペースのネットワークのIPアドレスが重なってしまう「IPアドレス帯の重複」が原因かもしれません。

このケースは自分では対処が難しいので、「VPNつなぐと何も見れなくなる」とIT担当に伝えてください。経験のある方であればすぐに状況を理解してくれるはずです。

アクセス制限をする仕組みによってブロックされている

組織によってはアクセス可能なサービスを制限している場合があり、その制限にひっかかっている場合もあります。
また、アクセス制限を行なうサービスの障害の可能性もあります。こちらはネットワーク担当者に確認をしてください。


ケース4:kintoneやその周辺サービスのネットワークダウンが原因

kintone自体の障害

たまにではありますが、kintone側で障害が起きてアクセスしづらくなることもあります。 この場合は、サイボウズが公式に情報を出しているので、まずは障害情報ページを確認してみましょう。

外部の連携サービスやカスタマイズが原因

kintoneは他のサービスと連携して使っているケースも多く、そちらが重くなるとkintone全体が遅く感じられることがあります。 また、JavaScriptやCSSファイルを外部サーバーから読み込んでいるようなカスタマイズをしている場合、外部サーバーの調子次第で表示が遅くなることもあります。

gusuku Customineを使用している場合は、やることの「自動採番を行なう」や「Excelを出力する」などはgusuku Customineのサーバーで処理している関係上この影響を受けることがあります。

「いつもと違って読み込みが遅い」と感じたら、カスタマイズや連携しているサービスに何か問題がないか、担当者やベンダーに連絡してみるとよいでしょう。


ケース5:「kintoneが使えない」ではなく、実は別のサービスが落ちている

実際にはkintoneではなく、そこにリンクが貼ってあるポータルサイトや別の業務システムが落ちていることもあります。 たとえば、「kintoneにログインできない」と言われてよく聞いてみると、ポータルサイトが開かないだけだったというケースもあったりします。

この場合は、「どのURLにアクセスしようとしていますか?」と具体的に聞いてみてください。 URLさえわかれば、それがkintoneなのか、別のものなのか切り分けることができます。


まとめ

kintoneにアクセスできないとき、必ずしも「kintoneの問題」とは限りません。 PCからインターネットを通じてkintoneへアクセスするまでの間に、さまざまなポイントでトラブルが発生する可能性があります。

弊社でもキミノマホロでkintoneシステムを開発し保守する際に問い合わせを受けた場合でもこういうことを考慮しながら問題を切りわけていくこともあります。

必要なものを、必要なだけ。
業務改善の新しいカタチ

kintoneを活用した業務改善・システム開発サービス

kintoneを活用した業務改善・システム開発サービス

特に在宅勤務やコワーキングスペースなど、日によって環境が変わる場合には、原因も多岐にわたります。
「どこでつまずいているか」を一つずつ丁寧に確認していくことで、問題解決につながります。

次回: kintoneの設定編 へ

次回は「その2:kintoneの設定編」として、アプリやアクセス権設定など、kintoneそのものの中身をチェックしていく観点でご紹介していきます。

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よなしろ
沖縄で業務しています。オンプレ生まれ・クラウド育ち。