公開日:2025-02-17
こんにちは、ゆーいちです。
私は2024年8月のkintone認定エキスパート試験を初めて受験し、システムデザインエキスパート(System Design Expert)試験(以下、SDE試験と記載)は不合格、カイゼンマネジメントエキスパート(Kaizen Management Expert)試験(以下、KME試験と記載)は合格でした。
※注:記載順は受験した順です
実績登録スコアを含む、試験スコアについては次のような結果でした。
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そう、実績登録は平均90点(SDE試験92点、KME試験88点)。
※見た時自分でも大層びっくりしました……
今回は、「実績登録」の概要、私がこの「実績登録」を組み上げる際に考えていたポイント(kintone SIGNPOST的なポイント・追加で気にしていたポイント)について、お伝えできればと思います。
※正式には「実績登録パート」なのですが、このブログでは「実績登録」と記載します。
そもそも「実績登録」って?
kintone認定試験のエキスパート試験は、「小論文パート」と「実績登録パート」の2つのパートに分かれており、これらを1つの試験時間中に両方解答する必要があります。
小論文パートではそれぞれテスト中に出される、シナリオに沿った設問に回答を行います。
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※HPから引用
実績登録パートについては、試験情報が公開されるタイミングで出題内容が公開され、この内容に沿った実績登録論文を予め準備しておき、テスト時間中に記載する形になります。
※これは2025年2月度のものです。最新情報はHPから確認してください。
実績登録については、KME試験はkintone SIGNPOSTのSTEP1.目的設定~STEP6.継続企画、SDE試験はSTEP2.プロジェクト企画~STEP5.運営のうち、1つの論述テーマを採用し、準備を行う事になります。
実績登録のネタ探し
さて、倒すべき相手はわかりました。孫氏の兵法にも「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」とありますが、敵がわかったので今度は己(何が書けるのか?)の検討に入ります。
こういう時、個人的に使っている考え方だと次の2点のポイントをまず考えます。
- (題意として)求められている事は何か?
- 自分がやってきた事で書ける事は何か?
こう書くと難しく聞こえるかもしれませんが、kintone認定エキスパート試験のそれぞれの試験の「受験対象」には以下のように記載されています。
カイゼンマネジメントエキスパート(Kaizen Management Expert)
- kintoneの特性を理解し、kintoneを活用して継続的な業務改善を推進できる方
- 業務の本質を見極めた上で、適切に業務改善の目的を設定して業務改善の企画ができる方
- 現場主体の業務改善を実施する上で、従来のシステム構築のやり方にとらわれず、業務要件に応じてプロと連携して進められる方
- kintoneを利用した業務システムを適切に社内へ展開・定着化することができ、業務改善の効果を出せる方
- kintoneを活用した業務改善を推進した実績がある方
※上記リンク先より引用
システムデザインエキスパート(System Design Expert)
- kintoneの特性を理解し、kintoneを利用した業務システムの構築プロジェクトを推進できる方
- 構築プロジェクトのライフサイクルを理解した上で、効率的で安全な業務システムの設計・構築ができる方
- 現場リーダーに対して、現場主体の業務改善を実施する上での留意点を、プロジェクト推進やシステム設計の観点から助言ができる方
- kintoneを利用した業務システムの運用・保守時のトラブルについて、原因追求や改善対応ができる方
- kintoneを活用した業務構築プロジェクトを推進した実績がある方
※上記リンク先より引用
また、評価方法は共通で次のようになっています。
kintone SIGNPOSTにおける7つのSTEPを評価観点として、複数の採点者で採点を実施しその平均を元に算出します。
※上記と同様に引用
つまり、まずはkintone SIGNPOSTに沿っていればよいのです。
※実績登録で問われている事は、必ずそれぞれの試験の「受験対象」で記載されている受験者像を意識したものなので、実績登録に記載した内容が実績登録の論述テーマから外れてなければ恐らくズレないはず……。
実績登録のSTEPで主となるサインポストをあぶり出せ!
さて、ここからは後半の「自分がやってきた事で書ける事は何か?」の論点も含めて考えていきます。
KME試験を受けるにせよSDE試験を受けるにせよ、実績登録での論述テーマは複数あり、より書きやすい論述テーマを選択したほうが実績登録の準備もしやすく、また試験会場での再現がしやすい事はいうまでもないので、自分にとって語りやすい話題となっている論述テーマを探す事になります。
これについて、私が実際にやっていたことでいうと、少し手間はかかってしまうのですが、問題の題意(より具体的にいうと、問題が問うている「適用しているべき」SIGNPOST)を各STEP毎に書き出して、このSIGNPOSTと自分の経験でうまく書けるのか…? というのを探る作業をしていました。

たとえば2024年8月度のKME試験の実績登録のテーマであった、1.目的設定 だと次のようになります(せっかくなので2.プロジェクト企画の検討メモも載せておきます。自分用のメモなので参考程度に見て頂けると……)。
1.目的設定 業務改善プロジェクトにおいてシステム化のコンセプトを決める際の重要なポイント
1-05 業務の付加価値 ◎
1-06 業務のkintone化
1-07 システム化のコンセプト ◎
1-08 現場とIT部門のチーム
1-09 業務の流れを掴む ◯
1-10 根本原因の追求 ◯
1-11 一足先に
1-12 先駆者の話 ◯
コンセプトを明確化する。この時に大事な要素(視点の角度)がいくつかあるはず
・コンセプトが明確でかつできるだけ簡潔であること
・業務の付加価値を明確にする
コンセプトが明確でかつ簡潔である というのは方針がぶれたり発散したときに、コンパクトなコンセプトほど戻しやすいから。
(あとみんなに浸透しやすいってのもある)
あと、テストしたり運用に入った時に「これができてればゴールした」というのがわかりやすくなる効果もある。
そのために、業務の流れを掴んだり、根本原因の追求をしたり、イケてるユースケースを学ぶために先駆者の話を聞きに行く という流れになると思う
2.プロジェクト企画 kintoneの活用範囲を広めるときのガバナンス設計をする上で重要なポイント
2-13 プロの伴走
2-14 基本機能から考える
2-15 自分たちのガバナンス設計 ◎
2-16 オープンな閲覧権限 ◎
2-17 未来の変化への備え ◯
2-18 守るべきデータ ◎
2-19 データの断捨離
2-20 小さなリリース単位 ◯
広めるというか広げるというか・・・ 要は「3-21 同一ドメインから」で浸透が終わったあとの横展開をどうすんの?という話。
1ドメインでの運用が成熟すると、「6-41 アプリ作成ルール」ができていたり、「3-27 親子アプリ」ができて「3-30 共通のマスタアプリ」がちゃんと運用されていたりするかもしれない。しないかもしれない(1ドメインだとあまりそういう事を考えなくてもできてしまうので)。
「3-32 開発環境の用意」もされているかもしれないし、「2-20 小さなリリース単位」でのリリースも定着しているかもしれない。浸透済のチームは。
これを浸透してない新チームにガチガチにルールで縛るとぜったいうまくいかないので、例えば1ドメイン目は「2-13 プロの伴走」で伴走してもらったように、今度は既に運用をガンガン回してる社内有識者が 活用範囲を広げる先のチームに対して伴走してみたり、
自由に触れる環境と運用を縛る環境 みたいなのを分けて、触れる環境をさわってもらったりとかそういう打ちてがいりそう
この検討の時のポイントは、STEPに含まれるSIGNPOSTをすべて書き出して、色々検討してみる事です。
主となるSIGNPOSTを決めたら、さらにその打ち手を補強するために、別のSIGNPOSTも適用されていなかったか?を考えてみましょう。
これは具体的に次の節でご説明します。
1文にkintone SIGNPOSTは1つだけしか書けないと思っていませんか?
実績登録は簡単にいうと、小問1でプロジェクトの概要を書き、小問2でテーマに対しての考えを書き、その論拠を小問3で書きます。
小問3で具体的な論拠としてSIGNPOSTが主題となるわけですが、これを実際に書くに当たり、書こうとしているプロジェクトでどうだったか、思い出してみて欲しいことがあります。
実際のプロジェクトでは1つのSIGNPOSTを使っているわけではなく、様々なSIGNPOSTを複合的に使っていませんでしたか?
これは、たとえば次のようなケースがありそうです。
- 復旧を楽にするために、「2-20 小さなリリース単位」で「0-02 素早く繰り返す」事で影響範囲を最小にしてみたり
- 打合せの時に「1-08 現場とIT部門のチーム」の主となるメンバーが全員そろう形としていたり、「4-33 現場代表」の意見を汲みながら「3-23 図に描く」をしながら打合せを進めていたり
- 最初に導入したチームで「1-11 一足先に」kintone導入が進んだあと、社内展開をする時に社内の有識者が「2-13 プロの伴走」みたいなこと(レビュー参加など)をしてくれたり
そうです。大抵のケースでは、kintone SIGNPOSTは一つ見つけられれば、その横にいっぱいありそうなのです。
恐らくきっと、プロジェクト内でSIGNPOSTを複合的に使っている箇所や、ケースがどこかにはあるはずなので、それを探して書き出してみましょう。
※ちなみに、私も実際受験する際に各STEPの問題で一通り記載内容を検討してみたのですが、だいたい、体感としてですが1文(130文字チョイ)に2~3つのSIGNPOSTが含まれるようにし、3つ書く(130×3≒400文字) というケースになる事が多かったです。参考にしてみてください。
kintone SIGNPOSTに書いていない応用論点もスパイス程度に入れよう
その上で、評価観点・評価尺度の「P3.経験に基づく主張」と、「評価尺度A(テーマに対する主張に発展的・創造的な提言がされている。)」を目指すように準備出来れば、より安心できそうです(注:私は全部評価尺度はBだったのですが……)。

これは実際にシステム開発を行い、kintoneを利活用していく過程でおそらくほぼ起きていると思うのですが、「従来システムではこうなっていたのを、こういう風にkintone上で実現した(kintoneにこうやって合わせた)」とか「現場にこういう風に具体的に納得してもらってkintoneに合わせてもらった」的な話が絶対あるのではないか?という気がしています。
※kintone hive(キントーンハイブ)などの具体的な事例はそういうエピソードにあふれているので、併せて参考にしてみるのも良いかもです!
レビューしてもらえる環境であれば、(最大)2人にレビューをしてもらおう
個人で受験される方もおられると思うのですが、もし会社などで実績登録をレビューしてもらえるのであれば、次のそれぞれの属性に該当している人にレビューをお願いすると、より強い実績登録を持ち込めそうです。
- 自分よりkintoneらしいアプリや設計がうまそうな人
- 自分よりシステム開発の知見がありそうな人
ぜひ、お願いできる状況であればお願いしてみましょう!
同じタイミングで受験する人が身近にいるのであれば、相互レビューなんかも良いのではないでしょうか。個人的には超おすすめです✨
おわりに
実は飯塚さんのブログが、初受験の際に実績登録の構築で大変参考になりました(というか実績登録に特化した具体的なブログがコレぐらいしか無い気がしており……笑)。
kintone認定エキスパートで日本一になって学んだこと|RossoAcademy飯塚洋平
これが大変参考になったので、後に続くか!と思って自分なりに「実績登録の構築手順をみんなが再現してもらえるように書けそうなので書いてみた」というのがこのブログを書いた理由です。
また、弊社の金春がコラムにて「勝手にkintone SIGNPOST解説」を書いているので、これらもぜひ受験される方は読んでみてください。深掘りのヒントが満載です!
併せて、弊社の築山が 対策の工夫で差がつく!kintone 認定エキスパート資格試験 を書いていたり、 最近だと弊社の大野が 絶対に1回で合格したかった私のKME(カイゼンマネジメントエキスパート)受験記 🎓 を書いていたりするので、これらの記事もぜひご覧ください!
投稿者プロフィール

- ドキュメントを書いています。また、たまにISMSと向き合っています。
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