公開日:2024-09-20
kintone×カスタマイン×GEMBA NoteによるDX化成功で、大幅な業務効率化を実現
株式会社トークネット
技術本部 線路施設部
副部長 吉田 昌浩様
グループマネージャー 宗像 実様
主任 高橋 利裕様
株式会社トークネットは東北電力グループの通信会社です。東北6県と新潟県で自社の光ファイバー網を基盤として、法人向けの光ファイバーケーブル通信サービスなどを手掛けており、2,000社超のお客様に約3万5千回線を提供されています。そんな同社ではスクラッチ開発した自社光ファイバー網の工事を管理する「工程管理システム」のリプレースにあたり、新システムの基盤としてkintoneを採用。DXを目的に現場向けデジタルノートiPadアプリ GEMBA Noteとkintoneを連携することを決定されました。本開発にアールスリーの開発とノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineをご利用いただいた経緯とその効果をうかがいました。
目次
1.DX化を見据え、スクラッチ開発の工程管理システムをkintoneでリプレース
2.アールスリーとプロトタイプによる実験を行い新システムの構想を実現できると確信
3.gusuku Customineのおかげで自由度の高いkintone開発と期日内進行ができた
4.トークネット・工事会社・協力会社、3者がkintoneでつながり業務が効率化
5.業務時間の大きな削減効果を期待
6.DXを実現した功労者として高橋様が社長賞・最優秀賞を受賞
7.kintoneとアールスリーがあれば、やりたいことを身軽に実現できる
1.DX化を見据え、スクラッチ開発の工程管理システムをkintoneでリプレース
Q:はじめにリプレース前の工程管理システムについて教えてください。
副部長 吉田様
工程管理システムは、法人向けの回線工事等のプロセスを管理するシステムです。大手SIベンダーがスクラッチ開発したものです。旧システムの利用者は、トークネットと工事を取り仕切る工事会社の2つです。工事会社は、現場を担当する協力会社に工事情報を伝達するのですが、これについてはメール・電話・書類などを使って連絡していました。
Q:リプレースのきっかけを教えてください。
リプレースのきっかけは3つありました。システムの保守期限が迫っていたこと、システムの再構築には膨大な予算が必要なこと、本業務のDX化です。2023年ごろから当社では全社的にDX化や業務の効率化を図っています。自社光ファイバー網の工事を司る旧システムもこの流れの中でDX化を目指すことになり、旧システムをそのままリプレースするのではなく、業務プロセスの棚卸しを行い、抜本的にプロセスを見直したうえでkintoneに乗せることにしました。保守期限が切れる前に、予算内におさめながら、業務プロセスを変えつつ、新システムを完成させる難度の高いプロジェクトの始まりでした。
Q:DX化を見据えた、新しい線路工事工程管理システムの構想はどのように計画されたのですか?
グループマネージャー宗像様
自社光ファイバー網の工事の業務プロセスと関係者、登場人物間のコミュニケーションが発生する部分を図に書き出して、効率化できる部分やペーパーレス化できる部分を抽出し、その結果をkintoneアプリにすることにしました。
Q:新システムの特徴を教えてください。
主任 高橋様
新システムの主な特徴は3つです。1つ目は、kintoneをシステムの基盤にすること。kintoneは既に決済手続きなどで全社的に利用していて馴染があり、ノーコードツールなので機能を容易に足したり引いたりできることが決め手でした。2つ目は、工事を行う協力会社にも利用範囲を広げ、案件のプロセス管理と情報や資料の受け渡しをスムーズにできるようにすること。これで関係者が一気通貫で工事情報や進捗を共有できるようになります。3つ目は、協力会社が工事現場で報告書を作成できるようにすること。このために現場向けiPadアプリの「GEMBA Note」を導入しkintoneと連携することにしました。GEMBA Noteはトークネット社内で既に利用していたことや電波がないエリアでも使える(電波無しエリアでの工事もある)ため採用しました。現場のペーパーレス化、帰社後に行う書類作成作業の削減、調査報告をお客様に提出するまでの期間短縮などが狙いでした。
2.アールスリーとプロトタイプによる実験を行い新システムの構想を実現できると確信
Q:kintoneのシステムとしては大規模でありiPadアプリとの連携も必要な本プロジェクトの開発パートナーにアールスリーを選定くださった理由をお聞かせください。
主任 高橋様
アールスリーには東北電力企業グループでの開発実績があったので問い合わせを行いました。まずは今回の構想をkintoneで実現できるのか判断する必要がありました。そのために要件検討フェーズにてプロトタイプによる実験の提案をアールスリーより頂き、基本業務の一つである「宅内調査」を進めるシステムをkintoneで仮構築してもらいました。GEMBA Noteとkintoneとの連携の実現性が未知数だったのですが、アールスリーがAWS(Amazon Web Services)を間に入れることで連携可能なことを突き止めてくれました。これで計画したシステムがkintoneで構築できるイメージが湧きました。また、費用面や更新時期が決まっているという条件もありましたが、これらも希望通りにできるということでアールスリーに正式に開発の依頼を決めました。
アールスリー田邊
このフェーズでは本番に近いアプリを作りkintoneによるシステムが実現可能かを確かめました。GEMBA Noteの開発元に問い合わせた結果、kintoneと直接連携する事はできませんが、AWSとの連携については可能なことが判明しました。kintoneもAWSと連携できます。そこで今回はkintoneとGEMBA Note間をAWSにて仲介する事で連携を実現させました。実験では、GEMBA Noteを連携し、iPadでアプリを操作し、オフラインなどの状況も含めた様々なパターンを想定してテストしました。手探りだったので苦労しましたが、うまくいって良かったです。
3.gusuku Customineのおかげで自由度の高いkintone開発と期日内進行ができた
Q:旧システムの構成について教えてください。
主任 高橋様
旧システムは、営業が受注情報を登録するシステム「応需サービスオーダーシステム(以下、「応需SO」という)」と連携していました。「応需SO」から案件情報を旧システムで取り出して工事の案件管理を行います。工事終了後は、現場が手書きの報告書を作成し、帰社後にExcelに打ち直して提出する流れでした。
Q:kintoneによる新システムの構成と開発の様子をお聞かせください。
新システムはリプレース領域と新規構築領域で成り立っています。リプレース領域は旧システムの主な機能を乗せかえた部分で、新規構築領域はGEMBA NoteをAWSで仲介してつないだ部分です。また営業が受注情報を登録する「応需SO」とも連携する必要があるので、「応需SO」とkintoneをつなぐ連携用のバッチプログラムも作成いただきました。新システムへは約80万件ものレコードデータの移行が必要であり難易度が高く運用開始への影響が懸念されましたが、アールスリーの協力を得て何とか乗り切りました。
約1年半の開発期間中、アールスリーは希望の機能を実現する方法を一緒になって考えてくれました。またgusuku Customineを使い短期間で複雑なkintoneのカスタマイズを行ってくれました。プロジェクトが期限内に完了したのは、アールスリーのアドバイスや素早い開発のおかげです。
アールスリー渡邊
本件は、スクラッチで何でもできることが前提で作られたシステムをkintoneで再現するため、基本機能ではできないことが多くありました。そこで複雑なカスタマイズを行うためにノーコードでkintoneをカスタマイズできるgusuku Customineをフル活用しました。1アプリあたりの機能が多く1ヶ所の変更が多方に影響を及ぼします。これに気を配りながらの開発だったので頑張り甲斐がありました。結果、ご要望いただいた機能の開発ができ、開発工数を大幅に削減することもできました。期間内に予算内でプロジェクトを終えることができたのはgusuku Customineがあったからです。
また、営業システム「応需SO」との連携については、連携バッチプログラムをC#で開発しました。最後の難関は約80万件のレコードのデータ移行でした。こちらは旧システムのベンダーさんの協力をあおぐとともに、本件のチームメンバーが総出でデータ移行作業をして乗り切りました。約1年半というアールスリーにとっては長期のプロジェクトでしたが、無事に終えることができて今はほっとしています。
4.トークネット・工事会社・協力会社、3者がkintoneでつながり業務が効率化
Q:新システムの利用範囲と利用方法を教えてください。
主任 高橋様
新システムの利用者はトークネット、工事会社、協力会社の約700人と多く、工事の案件管理・工事日程などの連絡・報告書の提出・その他コミュニケーションに利用しています。年間で約13,000件の工事を進行します。
新システムで最初に行うのは営業からの工事依頼の受付です。営業用システム「応需SO」からお客様情報と工事内容が連携されるので、住所などの条件をふまえて工事会社を決定します。アプリには関係者がデータベースとして登録されているので、数の多い承認者を選ぶ場面では、自組織に関連のあるユーザーのみに絞った一覧からラジオボタンを使って登録ができるなど、各所で作業がスムーズにできるよう工夫されています。
旧システムでは、工事会社から協力会社に工事の情報を共有するため、依頼内容等を電子メールで送付し、関係する電子ファイルをメールに添付するなどの方法で展開していました。新システムでは、トークネット、工事会社、協力会社の3階層で同じ情報をボタン一つで共有できます。このことにより、工事会社は業務スピードがあがり、作業も楽になったと喜んでいます。また情報の抜け・漏れも起こりませんし、kintoneのコメント機能で補足情報を送りたい時も案件に紐づいたコミュニケーションが可能です。利便性は格段に高まりました。
また協力会社ではiPadでkintoneと「GEMBA Note」を利用しています。案件の基本的な情報(ユーザーの住所や案件概要等)は「GEMBA Note」に自動でインプットされるので、現場では現地調査した結果や工事の具体的な実施内容のみを入力するだけでよくなり、報告書の作成も現地で完了するようになりました。
5.業務時間の大きな削減効果を期待
Q:DXを見据えた計画の通り、3つの関係者がkintoneでつながり、一気通貫の情報共有や現場での報告書作成が実現したのですね。新システムの導入で期待している効果はいかほどでしょうか?
副部長 吉田様
業務プロセスの見直しまで含めたシステムのリプレース効果としては、仮説ベースでの試算にはなりますが、新システムに関わる当社社員1人あたり年間業務量の10%くらいの大きな削減効果を期待しています。すべての効果を得るには時間がかかりますが、これらの削減できた時間は、時間外労働を減らしたり、休暇を取得しやすくしたり、やりたくてもできなかった仕事をしたりする、これらの原資として使えれば良いですね。
6.DXを実現した功労者として高橋様が社長賞・最優秀賞を受賞
Q:今回の開発に対する感想や、新システムによる社内への影響があればお聞かせください。
副部長 吉田様
実は、2023年の我々の組織の目標はこのシステムの切り替えで、何としても成功させるようにと社命がくだっていました。失敗は許されない状況の中、我々は旧システムと同じものを再構築する選択肢を断ち切ってkintoneによるDX案にかけました。
部門としてプロジェクトを立ち上げ対応いたしましたが、特にシステムに精通している高橋さんに掛かる負担は相当のものであり、開発からデータ移行までを振り返れば、それは大変だったことでしょう。そんな彼をアールスリーが支えてくれました。こうして作ったシステムで今しっかりと工事の工程管理業務が回っています。経営層からこのプロジェクトは成功との評価をいただき、高橋さんはプロジェクトの代表者として社長賞の最優秀賞を受賞しました。オフィスが仙台-大阪と離れている中で、アールスリーは本当によく関係性を作ってくださり、良い提案をいただいて良いものができました。大目標を達成できたのは高橋さんを中心とした社内関係者とアールスリーのおかげで間違いありません。
グループマネージャー宗像様
今回作ったシステムに触れたことで、kintoneアプリの作成にチャレンジする社員が増えています。「これができるなら、これもできるかも?」という会話が社内に広がっていて、色々な業務効率化の夢が実現する方向に向かっています。今回のプロジェクトはそんな良い影響を生んでくれました。
主任 高橋様
アールスリーの開発陣はその知見を活かして当社の複雑なワークフローをkintoneで実現してくれました。最初はkintoneはどこまでできるツールなのか分かりませんでしたが「kintoneでここまでできるんだ!」という驚きと安心感を与えてくれました。
Q:今回の開発では、御社の業務フローや社内の事情をアールスリーに理解してもらえたという感覚は得られましたか?
全員
そこは間違いないです。
グループマネージャー宗像様
アールスリーには、当社の業務フローを理解しようという強い姿勢がありました。そのうえで思いやりのあるアドバイスや想像を超えた提案をいただきました。WEBでのやり取りが中心でしたがうまくコミュニケーションを図ることができ信頼関係もできました。実現が厳しい機能がある時は、その機能の目的に立ち返って解決の方向に導いてくれました。アールスリーは無くてはならない存在として今もシステムの改良を続けてもらっています。本当に感謝しかないですね!
7.kintoneとアールスリーがあれば、やりたいことを身軽に実現できる
Q:最後に、スクラッチ開発のシステムをkintoneにリプレースしたいと考えている企業様や、アールスリーの開発を検討されている方にメッセージをお願いします。
副部長 吉田様
今回、kintoneを軸に欲しい機能をAPIなどで連携する「身軽な開発手法」があることを知りました。今後は業務に詳しい社員が「あると嬉しいアプリ」を試作して他のアプリと連携したり、本格的な開発が必要ならアールスリーに依頼することで我々がやりたいことをもっと実現できるでしょう。kintoneはそんな可能性があるツールです。当社は2人~3人という少人数の担当者で部門内のシステム運営・管理をしているので、アールスリーのようにやりたいことを考えてくれる会社が助けになっています。kintoneを検討されている企業さんはアールスリーと開発をすることで仕事の幅が広がるのではないでしょうか。
貴重なお話をありがとうございました!
アールスリーでは、本案件のようなkintoneアプリの開発や内製化に繋がる構築支援サービスをメニュー化し、2024年4月に「キミノマホロ for kintone」としてリリースいたしました。作業内容やメニューごとの価格体系を載せていますのでぜひホームページでご覧ください。