JBCC株式会社様 事例紹介

公開日:2023-12-14

kintoneとカスタマインを活かした超高速開発で、顧客に寄り添った開発を実現

JBCC株式会社
ソリューション事業 マーケティング本部 和田 萌希 様
ソリューション事業 ハイブリッドクラウド事業部 kintoneソムリエ 宮田 悠登 様
SI事業部 超高速開発センター 仲地 識苑 様
SI事業部 超高速開発センター 守屋 沙紀 様

JBCC株式会社は、企業のDXを支援するJBグループ(JBCCホールディングス)の中で中核を担っているITサービス企業です。4つの注力事業として超高速開発、クラウド、セキュリティ、データ連携を掲げており、超高速開発、クラウドの主力ソリューションのひとつとしてkintone(サイボウズ株式会社)の事業があります。

同社では多様化していく顧客要件に対応するため、kintoneの開発においてgusuku Customine(以下、カスタマイン)を活用しています。

顧客への提案だけでなく自社でもkintoneとカスタマインを活用し、効果を実感している和田萌希氏、宮田悠登氏、仲地識苑氏、守屋沙紀氏の4名にお話を伺いました。

kintoneチームの誕生、事業の成長と共に見えてきた課題

同社におけるkintone事業のはじまりは2016〜2017年に遡ります。kintoneのAPIが一般に公開されたことや、プログラミングして機能拡張できるといった理由から、kintoneの開発に取り組むことを決めました。

「それまで扱っていたグループウェアに近かったこともあり、今後kintoneが成長していくと感じました。そこで、販売と開発の両輪で注力して取り組んでいく体制を整えました」と和田氏は話します。

最初は小規模の案件からkintoneの事業を進めていった同社の転機は、2019年でした。kintoneをはじめとしたサイボウズ製品専門のチームを作ることが決まり、同時期に宮田氏が入社。前職でもkintoneをはじめサイボウズ製品の経験があった宮田氏が、同チームに抜擢されます。

kintoneソムリエである宮田氏を中心に、社内でもっとkintoneを広めようと営業向けのkintone勉強会を開催するなど、kintoneの事業が本格化していきました。kintoneソムリエとは、営業チームの中でもkintoneだけでなく周辺知識にも長けたスペシャリストのことをいいます。無数にあるプラグインや連携サービスの中から、お客様の業務や運用にあった最適なプラグインの提案や業務に適したkintoneアプリの紹介などの支援を行っています。

「kintoneを活用することで、お客様にスピード感を持って価値を提供できるようになったのが大きかったですね。一方で、案件の数が増えてくると対応しきれないという悩みもありました」と当時のkintoneの効果と課題について、宮田氏は振り返りました。

同時期には、顧客のシステム開発を担うSI事業部でもkintone開発の勉強会を開催したり、kintone認定アソシエイトの資格取得を推進したりすることで、kintoneが浸透していきます。

開発の視点でも、当時のkintoneの効果と課題について振り返ります。

「kintoneの基本機能を活かし、シンプルなプラグインを組み合わせるような提案はすごく上手くいきました。しかし、Excelでやっていることをkintoneにしたいという案件において、大量の計算式が入っていて複雑な処理を行っている場合、JavaScriptでカスタマイズしてみたものの重すぎて動かないなどの問題が起こることがありました。kintoneでできる・できないの切り分けに苦労していた時期でした」と仲地氏は話しました。

課題がある中でもkintoneのニーズは多く、チームができたことで売上は伸びていきます。2019年頭から2020年春の1年程で、売上は3倍にも増えていきました。

kintone事業の成長には不可欠だったカスタマイン

kintoneの事業が販売と開発の両輪で成長していく中で、宮田氏と仲地氏はカスタマインに出会います。それぞれのカスタマインとの出会いと、活用に至るまでの変化について伺いました。

宮田氏とカスタマインの出会いは、2019年のCybozu Daysでした。カスタマインでいろんなことができそうなことは理解できたものの、すぐに顧客への提案に結びつきませんでした。

「カスタマインが多機能すぎるが故に、当時はカスタマインの魅力をお客様に伝えきれませんでした」と宮田氏は振り返ります。

しかし、kintone事業の成長と共に顧客の規模も拡大し、複雑な要件が増えていきました。同時に、kintoneの開発とカスタマイズを自分自身で行いたいという顧客の声も聞こえるようになりました。

こうした声に応えるため、宮田氏はカスタマインを使ったデモアプリをたくさん作成し、徐々に習得していきました。

宮田氏自身が習得するにつれ、色々なことができるカスタマインは複雑な要件に応えられるし、お客様自身でカスタマイズすることも可能であると感じ始めます。

「お客様自身で開発したいという要望に応えるため、簡単なものはプラグインを提案していましたが、たくさんの要望が出てくるとプラグインが増えて費用も嵩んでいきます。カスタマインなら追加要望にも応えられるし、お客様自身でカスタマイズができることを伝えるように変わっていきました」(宮田氏)

一方kintoneのシステム開発を担当する仲地氏は、1年早い2018年のCybozu Daysでカスタマインに出会っていました。情報収集のためにCybozu Daysを訪れた際に、プレビュー版のカスタマインを知りました。新しいことができそうだと興味を持ったので、アールスリーのメルマガを受け取るなどしてその後も情報収集を続けていました。

しかし、当時同社ではJavaScriptでの開発を進めていたため、カスタマインの活用には至りませんでした。

「あの頃はプラグインだけじゃなく、よりお客様のやりたいことに寄り添うことに注力し、JavaScriptでの開発をやっていました。その結果、無茶な開発をしてしまって後の変更が厳しくなることがありました。さらに、開発メンバーも限られていたためカスタマイズを引き継ぐのも難しく、JavaScriptでの開発を続けていくと属人化してしまうといった課題が出てきました」と仲地氏は振り返ります。

こうした課題を解決するため、情報収集を続けていたカスタマインに目を付けました。「カスタマインならJavaScriptでやっていた、より広いいろんなタイプのことを、より安全に実現できるのではないか」と考えました。

さらにカスタマインに初めて触れた時の感想を、エンジニア目線でお話いただきました。

「パズルみたいにkintoneをカスタマイズできる、というフレーズを見て、実際どう作るんだろうと思っていました。触ってみて、こういう感じか、使いやすいなと個人的には思い、JavaScriptのUIをわかりやすくした感じだと思いました。JavaScriptをやっていたので、入りやすかったですね」(仲地氏)

カスタマインを提案・活用するたくさんの理由

こうして販売、開発の両輪でカスタマインの活用が進んでいった同社。活用方法や理由について、さらに詳しくお話を伺います。

開発でも伴走でもフル活用する豊富なドキュメント

カスタマインを提案する理由のひとつとして、やることと条件のドキュメントがまとまっていることを挙げます。

お客様自身でカスタマイズしたいという要望の増加と共に、kintone開発を支援する伴走を求められるケースが増えています。

カスタマインの設定の際に、顧客と同じドキュメントを見ながら開発、支援ができます。ドキュメントはまとまっていて、検索してすぐに目的のものを見つけることが可能です。また、カスタマインのサポートサイトには「こういうことがやりたい」という要望に沿ったTipsもたくさんあるため、こちらもよく活用しています。

JavaScript開発の課題をまとめて解決

また、カスタマインを活用することで、JavaScript開発のときに抱えていた課題の解決に繋がりました。

JavaScriptで開発を行うと、際限なくカスタマイズができてしまいます。kintoneの動きが重くなったり、無茶なカスタマイズになってしまったりと、kintoneに向かない物を作ってしまうことで、使い勝手が悪くなっただけでなく保守も難しいものになってしまいます。

「カスタマインでできる範囲でkintoneのカスタマイズを行います」と顧客に伝えることができ、kintoneの限界を超えないカスタマイズが可能になりました。

カスタマイズを作成する際の効率化も、重要なポイントとして挙げます。

「JavaScriptでカスタマイズを行う場合、事前に控えておいた設計書を見て何度もフィールドコードを確認しながら進めなくてはならず、行ったり来たりと手間がかかります。カスタマインならフィールドコードが選択肢として出てくるので、ぱっと選ぶことができるのは楽だなと思いますね」(仲地氏)

さらに、JavaScriptでは大変なカスタマイズも、カスタマインなら簡単にできることについても話します。

「JavaScriptだと面倒なUI系がとてもラクにできます。ボタンを置くとかダイアログを作るとか、JavaScriptだと結構面倒なんですが、カスタマインだとすごく気軽にできますね」(仲地氏)

また、kintoneのDOM構造に関わるような一覧画面の編集ボタンの非表示や、レコードのコメント欄を閉じるなどのカスタマイズも活用しています。こういったカスタマイズは、kintoneのアップデートで動かなくなってしまう可能性があります。

「JavaScriptでカスタマイズしている場合、毎月kintoneのアップデート情報を見て、これはカスタマイズに影響があるか?とずっと気にしなければなりません。カスタマインを使っていたら、そこを(開発元であるアールスリーに)お任せできるのは大きなポイントです。kintoneのアップデート情報に、毎月ハラハラしなくなりました」と、カスタマインを活用することで仲地氏の心境にも変化がありました。

JBアジャイルとの相性も抜群!

同社が推進する「JBアジャイル」という超高速開発を実現するための手法とマッチしていることも、カスタマインを活用する理由のひとつです。

一般的なアジャイル開発では、1機能1反復を基本とした短期間での開発を繰り返します。この手法では機能の連続性を捉えられず、大規模な開発になるにつれスケジュール管理が困難になるなどの課題がありました。

こうした課題を解決するため、同社が独自で改善を重ねた手法がJBアジャイルです。

「JBアジャイルは、要件定義をウォーターフォール開発のようにしっかり固めた上で、その後の工程はアジャイルで進めていきます。要件を出しきれなかった部分をお客様から引き出すことで、要件に漏れなくお客様の満足度と品質が高い開発ができる手法です」と守屋氏は話します。

「kintoneは、基幹システムの情報をリアルタイムで見られるようなCRMやSFAとして活用することが多いです。そしてkintoneのカスタマイズが必要な場合に、ローコードでkintoneをカスタマイズできるカスタマインを使用することで超高速開発を実現します」(和田氏)

相談の答えはいつも「それカスタマインでできますね」

同社では顧客への提案だけではなく、自社の業務改善においてもkintoneとカスタマインを積極的に活用しています。自社での面白い活用法を例に顧客に提案することもあるそうです。

一例として、イベントの申し込み人数をカウントするカスタマイズを挙げます。マーケティング担当の和田氏は、リアルタイムにイベントの申し込み人数を把握したいと考えていました。仲地氏に相談したところ、カスタマインを使って短期間で解決してくれました。

仲地氏が作ったカスタマイズでは、フォームブリッジ(トヨクモ株式会社)で申し込みがあったものをカスタマインのJob Runnerで自動で集計し、その時点での申し込み人数を正確に把握できるようにしています。

「カスタマインの機能にJob Runnerが出たときはテンションが上がりました。カスタマインのアップデートを、ワクワクして読んでいます」(仲地氏)

「私がこんなことやりたいですって仲地さんに相談すると、だいたい『それカスタマインでできますね』って返ってくるんです」とユーザーの立場で相談することの多い和田氏は話しました。

開発にも伴走にも、お客様の要望に寄り添うためのカスタマイン

今後の展望について、kintoneソムリエとして顧客にkintoneを提案する立場である宮田氏、顧客の要件に合わせてシステム開発を行う仲地氏、それぞれの視点でお話を伺いました。

「内製化を希望されるお客様が増えてきた一方で、従来通りプロに開発を頼みたいお客様もいらっしゃいます。こうした要望に応えていくため、お客様自身で開発する領域とJBCCが開発する領域を、分けて提案していきたいですね。カスタマインなら、お客様自身でも開発できますし、JBCCが開発することも可能です。また、ご要望に合わせてお客様が開発できるよう、伴走もしていきます」(宮田氏)

同社では開発、伴走と、従来のように保守も行っています。これまでと変わってきているのは、同社が開発する場合にもご要望に合わせて、やっていることを共有しながら開発していきます。自分でできる、やりたいという顧客は一緒にやっていこうという方針をとっています。

「お客様が求めるものに対して簡単にできるプラグイン等も準備しています。ですが全体を見た時に、管理面やセキュリティ面も考えると、カスタマイン1個に集約していくメリットを感じています。カスタマイン1個でできることの範囲の広さは魅力だと思うので、規模の大きなお客様にはほぼ100%カスタマインを提案しています。今後は規模に関係なく提案できるノウハウやテンプレートを考えていきたいと思っています」とkintoneソムリエである宮田氏に、kintoneとカスタマインの今後についての展望をお話いただきました。

さらに、システム開発の視点で仲地氏にもカスタマインについてと今後についてお話いただきます。

「kintoneの開発を自分でできるお客様は、カスタマインならお客様自身でカスタマイズもできることが強みになっています。また、JBCCが開発する場合にも、JavaScriptだと後に問題になってくることがあるので、社内の安全を守るためにもカスタマインでやる、というのがひとつの基準になっています。開発でも伴走でも、カスタマインが重要になっています」(仲地氏)

カスタマインをフル活用している同社ですが、一部JavaScriptでの開発も行っています。

ITサービス企業である同社では、kintoneと外部サービスとの連携も要望に応じて積極的に行います。連携サービス側にAPIがあれば、JavaScriptを書いて対応します。

「元々JavaScriptで開発していたこともあって、できないと切り捨てたくないという強い気持ちがあります。お客様の要望に、一生懸命寄り添っていきたいと思っています。kintoneのカスタマイズはカスタマインで行いますが、外部サービスとの連携はJavaScriptを使って、要望に応えていきたいです」と仲地氏に締めていただきました。

今後もこの強い思いを持って、同社ではカスタマインとJavaScriptそれぞれの利点を活かしたkintoneの開発を、幅広く行っていきます。

取材日:2023年10月

JBCC株式会社:https://www.jbcc.co.jp/